米ドル/円は156~159円で膠着か…世界的な長期金利上昇と「159円の壁」が意識される1週間【今週の米ドル/円予想レンジ「156~159円」の根拠】

10月6日~10月12日の「FX投資戦略」ポイント

米ドル/円は156~159円で膠着か…世界的な長期金利上昇と「159円の壁」が意識される1週間【今週の米ドル/円予想レンジ「156~159円」の根拠】
(※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル/円は、日米首脳会談でのトランプ大統領による円安懸念発言を受けて一時156円台まで下落しましたが、先週は158円台まで米ドル高・円安に戻す場面もありました。背景には、世界的な長期金利の上昇を受けた米ドル買いがあります。一方、158円台では日本の通貨当局による「レートチェック」も観測されており、159円を超える水準では為替介入への警戒感が一段と強まりそうです。今週の米ドル/円は、上値・下値ともに動きづらく、156~159円を中心とした展開が続く可能性があります。マネックス証券チーフ・FXコンサルタントの吉田恒氏が、今週の相場を分析します。

10月6日~10月12日の「FX投資戦略」ポイント

<ポイント>

・トランプ「円安懸念」発言受けた円高も156円台で一巡、先週は一時158円まで円安に戻す。

・世界的長期金利上昇が米ドル買い要因に。その一方159円以上では介入警戒感も強そう。

・米ドル/円は上下ともに動きづらい可能性。今週の予想レンジは155.5~159.5円。

先週の振り返り=一時158円台まで円安に戻す

トランプ「円安懸念」発言受けた円高も156円台で一巡

日米首脳会談でのトランプ大統領による円安懸念発言などをきっかけに反落した流れを引き継ぎ、先週の米ドル/円は一時156円台まで下落しました。ただ米長期金利上昇などが米ドル買い材料とされると、その後は158円台まで米ドル高・円安に戻す場面も見られました(図表1参照)。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2026年7月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

米長期金利の上昇には、原油価格の高止まりなどによるインフレ懸念や米財政赤字への懸念とともに、世界的な長期金利上昇の影響もあるでしょう(図表2参照)。とくに最近はフランスを中心とした欧州の長期金利上昇が注目されています。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表2]米独の10年債利回り(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

米ドル買い要因となった世界的長期金利上昇

世界的な金利上昇局面では、とくに日欧と比べた場合、相対的に米金利の水準が高いため金利差は米ドル優位が拡大します。ユーロ/米ドルは先週にかけて2025年5月以来の1.12米ドル台まで下落しましたが、これは基本的には独米金利差(米ドル優位・ユーロ劣位)拡大に沿ったものでした(図表3参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表3]ユーロ/米ドルと独米2年債利回り差(2026年7月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

また、投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、7月末の米ドル高・円安阻止を目的とした日米協調介入以来米ドル買い越しが大きく縮小しましたが、先週にかけては買い越しが再拡大しました(図表4参照)。これは、円以外の通貨に対して米ドル買い越しが軒並み大きく拡大したためです。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表4]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

10月FOMCでの2ヶ月連続利上げ観測は後退

こんなふうに世界的な金利上昇が米ドル買い材料になったと見られる一方で、9月雇用統計が予想より弱い結果になるなど、先週発表された米経済指標から10月FOMC(米連邦公開市場委員会)での2ヶ月連続利上げ観測は後退し、金融政策を織り込む短期金利は上昇一服となりました(図表5参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表5]米2年債利回りとFFレート(2020年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

そしてもう1つ米ドルの上値を抑制する要因となったのは米ドル売り・円買い介入への警戒感だったのではないでしょうか。9月に一時152円まで米ドル安・円高となりましたが、その後米ドル高・円安が再燃すると158円台で日本の通貨当局による「レートチェック」が観測されました。これは介入の前段階の動きと見られていることから、この水準を超えて、159円より米ドル高・円安になると実際の米ドル売り・円買い介入が行われる可能性は警戒されているでしょう。

 

159円以上では米ドル売り・円買い介入の可能性!?

一時152円まで米ドル安・円高となった局面では、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円買い越しが急拡大しました(図表6参照)。この統計はおもにヘッジファンド(以下ヘッジF)の取引を反映していると見られています。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表6]米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

ヘッジFが円買い急拡大に動いた頃、ベッセント米財務長官による日本への金融・財政政策に関する発言が相次ぎました。それらは基本的に、日本に円高になる政策を期待するものだったことを考えると、ヘッジFとベッセント長官は円高誘導を共通の目的として連携していたように感じられます。

 

そんなヘッジFの円買いポジションの損益分岐点の目安である120日MA(移動平均線)は足下で159円台です(図表7参照)。もしもヘッジFとベッセント長官が連携しているなら、ヘッジFの円買いポジションの損失転落を阻止するべく、159円を大きく超える米ドル高・円安に対しては為替介入を再開する可能性があるでしょう。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表7]米ドル/円と120日MA(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今週の注目点=懸念が強まる世界的な長期金利上昇

今週の米ドル/円予想レンジは155.5~159.5円

今週はとくに目立ったイベントはありませんが、世界的な長期金利上昇への懸念が強まっていることから、その行方などが引き続き注目されることになりそうです。すでに見てきたように、世界的な長期金利上昇は基本的には米ドル買い要因となっているようです。ただそれがさらに進んだ場合、株価への悪影響とならないかも要注意でしょう。

 

今週の米ドル/円は、世界的長期金利上昇が米ドル買い要因となる一方で、これまで見てきたように159円以上では円安阻止介入への警戒感もあることから、156~159円を中心に動きづらい展開が続くのではないでしょうか。予想レンジは155.5~159.5円にしたいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

【関連記事】

■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

 

 

【注目のセミナー情報】​​​

【資産防衛】10月14日(水)オンライン開催
約30年ぶりの世界的金利変動が生み出した
新たな「お宝保険」の全貌

 

【実物資産投資】10月24日(土)オンライン開催
「日本刀投資」は他の実物資産と何が違う?
希少性・鑑定・保存状態…「価値」を見極め方を解説

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧