苦労してまとめた議案に“反対コメント”も…適正な議論を阻む理事会の対応
あるマンションの組合員であるA氏らは、大規模修繕に向けた修繕委員会の細則案を作成し、賛同者を集めて臨時総会の開催を請求した。組合員の意見を聞き、修正を重ね、案をまとめるまでに約2ヵ月かかったという。
ところが、配布された開催通知には、細則案に対する否定的な理事会のコメントが複数掲載されていた。さらに、検討が必要だとする注意書きが枠で囲んで強調されていた。
A氏側は「反対を促すような書き方ではないか」と受け止めた。出欠届の締め切りや委任状の記載方法にも疑問が重なり、書類作成に関わった管理会社への不信が強まったという。
これはA氏が直面した事例であり、管理会社や理事会の違法行為が確認されたという意味ではない。理事会が反対意見を述べること自体を問題視するものでもない。
しかし、提案の内容と理事会の評価は区別して示すべきだ。提案者の趣旨を正確に伝え、組合員が判断できる資料にすることが、公正な議論の前提となる。
「理事長が議長になれるか」よりも重要な規約上の選任手続き
A氏は当初、「組合員が開催を求めた総会では、理事長は議長になれない」と考えていた。しかし、ここは整理が必要である。
標準管理規約第44条第3項では、この手続きで招集された臨時総会の議長は、出席した組合員の議決権の過半数によって、組合員のなかから選任する。理事長が当然に議長になるわけではないが、組合員である理事長を候補者から除外する規定でもない。重要なのは、規約に従って選任されたかどうかだ。
同条の出席者には、書面や代理人などで議決権を行使する組合員も含まれる。会場の声だけで判断せず、委任状や議決権行使書の内容を踏まえ、必要な賛成をどう確認したのかを明らかにする必要がある。
実務上は、開催通知に議長選任の議案と候補者を示し、議決権行使書に賛否欄を設ける方法が推奨される。委任先も、未選任の「議長」ではなく、規約上の代理人資格を確認したうえで具体的に記入してもらうと、混乱を防ぎやすい。
これは実務上の提案であり、この形式でなければ直ちに無効という意味ではない。
