マンション理事会の不透明な運営と、従うだけの管理会社…不満を抱く住民が行使できる〈法的な対抗手段〉【マンション管理士が解説】

マンション理事会の不透明な運営と、従うだけの管理会社…不満を抱く住民が行使できる〈法的な対抗手段〉【マンション管理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

マンションの管理組合において、「理事長や理事会に意見しても取り合ってもらえず、管理会社も理事長の意向に従うばかり」という不満は少なくありません。管理が適正に行われない場合、行政の指導に頼りたくなりますが、行政が個々の対立を仲裁することには限界があります。そこで重要になるのが、組合員自らが問題を提起する「総会招集請求」です。本記事では、標準管理規約に基づく総会招集の実務と注意点について、松本マンション管理士事務所代表の松本洋氏が解説します。

行政指導の限界とマンション管理の実情

マンション管理組合から寄せられる相談で、よく耳にするのが「理事長や理事会の運営に疑問があり、意見を伝えても取り合ってもらえない。管理会社に相談しても、理事長の意向を繰り返すばかりだ」という不満である。

 

管理会社には、管理の専門家として規約や法令に沿わない運営があれば、根拠を示して改善を促す役割が期待される。しかし、口頭で軽く意見を述べるだけにとどまり、結果として理事会の意向に従ってしまうケースもある。こうした対応が、組合員の不信を深めている。

 

また、「市役所から理事長や管理会社を指導してほしい」という相談もあるが、管理組合は、区分所有者が自ら役員を選び、運営する自治組織である。そのため、行政が個々の対立を仲裁したり、総会決議の有効・無効を判断したりすることには限界がある。

 

ただし、行政が一切関与できないわけではない。マンション管理適正化法には、管理が適正に行われていない管理組合に対して、自治体が助言・指導を行い、一定の場合には勧告する制度がある。管理会社に同法違反の疑いがあれば、管轄の地方整備局等が相談・通報先となる。

 

一方、対応への不満だけで直ちに行政指導につながるわけではない。管理組合の内部で問題を話し合う仕組みとして知っておきたいのが、組合員による総会の招集請求である。

組合員自ら臨時総会を求める「5分の1の同意」ルール

国土交通省の『マンション標準管理規約第44条』では、組合員総数と議決権総数のそれぞれ5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示せば、総会の招集を請求できる。

 

人数と議決権の両方を満たす必要があり、単純に「全戸数の2割の署名」で足りるとは限らない。複数住戸を所有する人がいる場合や、住戸ごとに議決権が異なる場合には注意が必要だ。

 

同条では、理事長は請求から2週間以内に招集通知を発し、原則として請求日から4週間以内の日を開催日とする。マンション再生等に係る決議には、2ヵ月と2週間以内とする特則がある。理事長が通知を発しなければ、請求した組合員が自ら招集できる。

 

ただし、標準管理規約はひな型である。実際には、そのマンションの管理規約と関係法令を確認して進めなければならない。

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