「会いたくなったら、外で会えばいい」74歳父がやめたこと
誕生日会から数日後、正雄さんは健太さんに電話をしました。
「俺、これからは毎回そっちに行くのはやめようと思って」
「え、なんで? この前何かあった?」
健太さんは驚いた様子でした。
「何もないよ。孫たちだって、もう自分たちの予定があるだろう。俺が暇だからって、毎回そっちに行かなくてもいいなと思っただけ」
「別に来てもいいんだよ」
「分かってる。会いたくなったら、今度は外で飯でも食おう」
正雄さんは、息子一家との関係を遠ざけたかったわけではありません。むしろ、自分から息子宅を訪ねることばかりが、家族と会う方法になっていたことを見直したのです。
翌月、正雄さんは健太さん一家を自宅近くのレストランへ誘いました。さらに別の週末には、下の孫と2人で映画を見に行きます。
以前より会う回数は減りました。一方で、「今週は行ってもいいだろうか」と息子一家の予定を気にすることもなくなったといいます。
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』では、高齢者が日常生活で家族や知人から頼られている内容として「子や孫の世話」を挙げた人は26.0%でした。孫が幼い時期には祖父母が育児を支えることもありますが、孫の成長とともに求められる役割が変わる家庭もあるでしょう。
正雄さん自身も、週末の過ごし方を少し変えました。
これまでは予定がなければ「息子のところへ行こうかな」と考えていましたが、最近は近所の知人と昼食へ行ったり、一人で映画を見たりすることも増えています。
内閣府の同調査では、近所の人との付き合いについて「会えば挨拶をする」は84.6%、「外でちょっと立ち話をする」は61.3%でした。一方、親しくしている友人や仲間が「ほとんどいない」は12.6%、「全くいない」は3.5%となっています。
家族とのつながりは、高齢期の生活を支える大切な関係の一つです。ただ、子どもが家庭を持ち、孫が成長すれば、家族それぞれの生活や予定も変わっていきます。
以前より訪問回数が減ったからといって、必ずしも関係そのものが遠くなったとは限りません。自宅を訪ねるだけでなく、外で食事をする、孫と個別に出かける、互いに都合のいい日に会う。家族の変化に合わせて会い方を変えることも、無理なく関係を続けていく方法の一つです。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

