年間30万円を超えても「喫茶店には行く」と決めた理由
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得が月11万8,465円、消費支出が14万8,445円。あくまで平均値であり個々の家計とは異なりますが、年金生活では毎月数万円の支出の違いが貯蓄の取り崩し額にも影響します。
隆さんの場合、年金は月15万円。持ち家のため家賃はありませんが、管理費や修繕積立金、固定資産税のほか、食費や光熱費、通信費などがかかります。
貯蓄1,300万円があるため、月3万円の喫茶店代を払ったからといって、すぐ生活に困るわけではありません。それでも隆さんが気になったのは、「何となく使っていた」という点でした。
「年間30万円あったら旅行にも行けるでしょう。喫茶店に行くのが悪いんじゃなくて、自分が30万円使っていることを知らなかったのが問題だと思ったんです」
とはいえ、そこで翌月から喫茶店通いをやめたわけではありません。週に3~4回は、これまで通り店へ行きます。
その代わり、昼食は原則として自宅で食べ、コーヒーを飲むだけの日を増やしました。喫茶店へ行かない日は少し遠い公園まで歩き、図書館へ寄ることもあります。
その結果、翌月の喫茶店代は1万5,000円ほどになりました。年間にすれば十数万円の差になります。
それでも隆さんにとって、喫茶店で過ごす時間そのものは削り切りたい支出ではありませんでした。
「家にずっといるより、一回外に出たほうが一日の区切りがつくんです。店員さんと二言、三言しゃべることもありますしね。だからゼロにする必要はないと思いました」
内閣府の同調査では、外出手段として「徒歩」を利用する人は50.1%。また、現在の生活で生きがいを「十分感じている」「多少感じている」を合わせた割合は76.4%でした。退職後の家計を考えるときにも、支出額だけでなく、その支出が日々の生活でどのような役割を持っているのかを見る必要があります。
年金生活では、大きな買い物だけが家計を左右するとは限りません。数百円、千円という日常的な支出も、毎日続けば年間ではまとまった金額になります。
一方、外食や趣味などを一律に削ればよいとも限らないでしょう。まず月単位、年単位で実際の支出を把握し、自分にとって残したいものと減らせるものを分ける。収入が限られる高齢期には、金額の大きさだけでなく、何にいくら使うかを自覚して選ぶことも家計管理の一つです。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

