(※写真はイメージです/PIXTA)

年齢を重ねて一人で暮らす場合、住まいの安全性や生活の利便性は重要です。ただ、設備やサービスが整った住居を選んでも、人とのつながりまで自動的に生まれるわけではありません。普段は気にならなくても、周囲の生活リズムが変わる連休に、ふと寂しさを意識することもあります。

「一人が嫌なんじゃない」74歳女性が連休後に始めたこと

連休が明けると、マンションにはいつもの人たちが戻ってきました。食堂で顔見知りの女性から「娘の家に行って疲れちゃった」と聞き、由美子さんは笑います。

 

その日の午後には体操にも参加しました。

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』では、65歳以上の72.5%が、電話やメール、SNSを含めて「毎日」誰かと話していると回答しています。一方、「1週間に1回未満・ほとんど話をしない」は6.0%でした。近所付き合いでは、「会えば挨拶をする」が84.6%、「外でちょっと立ち話をする」が61.3%に上ります。

 

由美子さんにも、挨拶をする相手や立ち話をする相手はいます。

 

ただ、それは家族や長年の友人とは違います。マンションという同じ場所で暮らし、生活の時間が重なったときに生まれる関係でした。

 

「一人でいるのが嫌なわけじゃないんです。普段だって部屋では一人ですから。ただ、連休になると、世の中みんなが誰かと過ごしているように見えてしまうんですよね」

 

次の連休までに、由美子さんは少しだけ行動を変えることにしました。

 

以前住んでいた街の友人に自分から電話をかけ、月に一度、一緒に昼食を取ることにしたのです。マンションの体操でよく会う女性とも、「今度お茶でもしましょう」と約束しました。

 

娘にも、「次の連休、1日だけ空いていたらお昼でも食べない?」と自分から聞いてみました。

 

毎回会えるとは限りません。それでも、家族から誘われるのを待ったり、マンション内で偶然誰かと会うことだけに頼ったりするより、自分から予定をつくってみようと思ったそうです。

 

内閣府の同調査では、親しくしている友人・仲間について「ほとんどいない」が12.6%、「全くいない」が3.5%でした。一方、近所の人と「お茶や食事を一緒にする」と答えた人は16.0%にとどまります。挨拶や立ち話をする相手がいることと、休日を一緒に過ごせるほどの関係があることには違いがあることがうかがえます。

 

高齢期の住まいを考えるとき、段差の少なさや見守り、買い物のしやすさなどは重要な条件です。一方で、住む場所を変えただけで人との関係まで整うわけではありません。

 

日常的に言葉を交わせる相手がいるか、外へ出るきっかけがあるか、そして普段とは生活リズムが変わる休日をどう過ごすか。安心して暮らせる住まいとともに、そうした日々のつながりをどう保つかも、高齢期の生活を考えるうえで一つの課題となります。

 

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