「妻の生活」と「最終的な財産の帰属」を両立させるには?
こうしたケースで重要になるのは、「現在の妻の生活を守る」方法と、「最終的な財産の承継者を明確にする」方法を考慮することです。
さらに、夫側の子どもと妻側の子どもによる相続争いを防ぐ必要もあります。
そこで、いくつかのスキームを組み合わせて相続を設計することになります。
遺言書は必須だが、内容には工夫が必要
まず大前提となるのが、遺言書の作成です。しかし、その内容には注意が必要です。
仮に、後妻の生活を心配した夫が「全財産を妻に相続させる」とだけ遺言を残したとしたら、妻の生活は守れますが、妻が夫から相続した財産を所有したまま亡くなれば、妻側の相続人に承継されます。
一方で、「全財産を子どもに相続させる」とだけ遺言を残したとしたら、今度は妻の生活が不安定になってしまいます。
そのため、熟年再婚夫婦の場合は、単に遺言を作るだけではなく、誰の生活をどこまで保障し、最終的に誰に財産を承継させるのかまで考えた遺言が必要になります。
配偶者居住権を活用
この事例においてまず検討したいのは、配偶者居住権です。配偶者居住権とは、2018年の民法改正により創設され、2020年4月から施行された制度で、ごく簡単に言うと、自宅の所有権と居住する権利を分けることができるというものです。
たとえば、自宅の所有権は夫側の子どもに相続させ、妻には配偶者居住権を取得してもらうという方法です。
こうすることで、妻はこれまで住んできた自宅に住み続けながら、最終的には子どもが自宅の所有権を取得するという設計が可能になります。
熟年再婚夫婦のように、配偶者の生活を守りつつ、最終的な財産の帰属先も明確にしたいケースでは、検討する価値のある制度です。
もっとも、配偶者や子には遺留分が認められるため、実際の設計にあたっては、各財産の評価や遺留分への配慮も必要です。
