(※写真はイメージです/PIXTA)

年齢を重ねると、通院や買い物だけでなく、離れて暮らす子どもとの距離も住まい選びの条件になってきます。一方、子どもの近くで暮らすことを望んでも、必ずしも同居を希望するとは限りません。それぞれの生活を維持しながら、必要なときには行き来できる「近居」を選ぶ人もいます。

「毎日会わなくていいんです」近くに住んで変わった娘との関係

引っ越してから、娘とは以前より気軽に会えるようになりました。それでも、毎日のように行き来しているわけではありません。

 

ある週末、娘から「今日そっちに行っていい?」と連絡があり、一緒に昼食をとりました。数時間話したあと、娘は夕方には自宅へ帰っていきます。

 

別の日には、裕子さんが娘の家の近くまで買い物に出かけたものの、そのまま顔を出さずに帰宅しました。

 

「近くに来たからって、毎回会う必要はないでしょう。娘にも予定がありますから」

 

娘から「夕飯、一緒に食べない?」と誘われれば出かけることもあります。一方、信夫さん夫婦だけで外食したり、それぞれ趣味の予定を入れたりする日もあります。

 

厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、「夫婦のみの世帯」は31.8%、「三世代世帯」は6.3%でした。1986年には三世代世帯が44.8%を占めていましたが、家族の暮らし方は大きく変化しています。

 

近居のメリットを実感した出来事もありました。

 

引っ越して数ヵ月後、裕子さんが風邪をひいたときのことです。娘に連絡すると、仕事帰りに飲み物や食べ物を買って玄関まで届けてくれました。

 

「前だったら『わざわざ1時間かけて来なくていいよ』と言っていたと思います。でも今は帰りに寄れる距離だから、頼みやすかったですね」

 

一方で、食事を作ってもらったり、泊まり込んでもらったりはしませんでした。

 

夫婦は現在も自分たちで買い物をし、家事をし、それぞれの予定で生活しています。

 

「将来、私たちだけではできないことが増えれば、そのときはまた考えればいいと思っています。でも、元気なうちから娘と全部一緒にする必要はないですよね」

 

何かあれば行き来できる。それでも普段は、それぞれの家でそれぞれの生活を送る。

 

「娘との距離は近くなりました。でも生活まで一緒にするわけじゃない。それくらいが、今の私たちにはちょうどいいんです」

 

家族の近くに住む方法は、同居だけではありません。信夫さん夫婦は71歳で住まいを変え、娘との距離を縮めながらも、自分たちの暮らしを続けるという選択をしました。

 

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