預金も貸出も「大数の法則」を活用
コインを2枚投げても、表が1枚になるとは限りません。しかし、統計学の難しい話はさておき、コインを2万枚投げると、大体1万枚が表になるのだそうです。「大数の法則」と呼ばれているものです。銀行の商売は、こうした統計学の知識を活用しているのです。
銀行は、誰が預金を引き出しにくるかわかりません。しかし、過去の例から100人に1人の割合で預金を引き出しにくるということはわかっているとします。客が10人しかいない銀行であれば、たまたま10人全員が引き出しにくる可能性があるので、怖くて貸出はできないでしょう。しかし、預かった現金を全て金庫にしまっておいては商売になりません。
100万人の預金者がいる銀行ならば、大体1万人くらいが引き出しにくるだろうと予想できるので、2万人分の現金を金庫に残し、98万人の預金は貸し出しに回してしまっても大丈夫なのです。
貸出についても同様です。100社に1社の割合で倒産するという場合、借り手が10社しかない銀行だと、2社潰れただけで倒産してしまいかねないので、怖くて貸せないでしょう。しかし、1万社に貸していれば、大体100社程度が倒産すると考えてよいでしょう。それならば、貸出金利を100分の1(つまり1%)だけ高めに設定しておけばよい、ということになります。
金融は経済の血液、銀行は経済の心臓
金融は経済の血液、銀行は経済の心臓、といわれることがあります。普段はありがたみを感じないけれども機能が停止すると有り難みを痛感する、ということでしょう。心臓も銀行も、有り難みを痛感するような出来事が起きないのが一番ですね。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
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