多くの中小企業の経営者が苦しむ「資金繰り」
会社を設立するためには、開業準備金が必要です。しかし全額を自分の貯金等で用意することは難しいため、金融機関の融資を申請します。
融資の審査に通るためには、営業担当者を説得しなければいけません。経営者の方々はみな、会計の基礎知識を一生懸命学び、会社の資金繰り計画について念入りに考えたことでしょう。
「開業資金の一部は用意できましたが、開業した後、売上が立つまで最低3カ月かかるので、事業継続のためには、人件費や家賃、……合計3000万円のお金が必要になります」
このように具体的な数字を提示しながら、筋が通った説明ができれば、融資を受けられる可能性が高まります。
融資が決定して多額の資金を手に入れたときは「これで事業を始められる。どんどん利益を出して借金を返していくぞ!」と、前向きな気持ちでスタートラインに立ったはずです。
多くの企業は、開業直後は十分な資金があります。その後、計画通りに事業を進めていけば、問題なく資金はまわっていくはずです。
ところが実際は、多くの中小企業の経営者が資金繰りに苦しんでいます。
思い通りに商品が売れずに赤字になるケースや、近所に競合店ができて顧客をとられてしまったケース、価格競争が激化して安売りせざるを得なくなり、次の商品を仕入れるだけの利益が出せなくなったケースなど、その理由はさまざまです。とくに創業時は固定客が存在しないので、売上が安定しません。それでも家賃や人件費などの固定費は毎月支払わなければいけないので、預金残高はどんどん減っていきます。
何を改善すれば良いのか分からない・・・
資金が底を突いて、会社が潰れてしまう──そんな恐怖と日々戦っていることでしょう。
何が会社の経営を悪化させているのか。
ライバル店にサービスの質で負けている、価格で負けている、事業規模で負けている、立地が悪い、従業員の接客態度に問題があるなど、原因が分かっているのであれば、まだ改善に向けて努力をすることができます。
厄介なのは、何を改善すれば良いのか分からない場合です。
「商品の売れ行きはいいのに、社員の給料や家賃を払うとき、いつも手元に現金がない」
「利益が出ているはずなのに、いつまでたっても会社の貯金が増えない」
そして答えが出ないまま、とにかく会社を潰さないようにと必死にお金のやりくりを続けています。仕入れの支払いや社員の給与支払い、銀行の返済ばかりに追われて、会社を発展させるためのビジョンを描くことができずにいる──。
それは経営者として、一番辛いことです。
「売上」の悩みよりも「お金=資金繰り」に悩んでいるのは、世の中の経営者みんな同じなのです。