4LDKに夫婦2人…10年後を考えて手放した築35年のわが家
「最後の住まいは、ここです。もう引っ越すつもりはありません」
そう話すのは、夫の達夫さん(仮名・74歳)と暮らす和美さん(仮名・72歳)です。夫婦の年金収入は月約33万円。現在の金融資産は約4,600万円あります。
2年前まで暮らしていたのは、首都圏郊外にある築35年ほどの4LDKの一戸建てでした。2人の子どもを育てた家で、住宅ローンはすでに完済。子どもたちはそれぞれ家庭を持ち、現在は夫婦2人です。
住み替えを考えるきっかけは、大きなトラブルではありませんでした。
ある雨の日、和美さんが2階から洗濯物を抱えて下りていると、達夫さんが何げなく言いました。
「この家、俺たちあと10年住めるかな」
階段を上れないわけではありません。庭の草取りも、達夫さんが時間をかければできます。ただ、外壁や屋根、水回りには今後も修繕が必要です。
「今はできる。でも80歳を過ぎても同じようにできるのかな、という話になったんです」
夫婦が特に気にしたのは、病院と買い物でした。
当時の自宅からスーパーまでは徒歩15分ほど。かかりつけのクリニックへは車で通っていました。達夫さんは運転を続けていましたが、「いつか車を手放す日」は当然来ると考えていました。
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、60歳以上が住まいや地域の環境で重視することとして、「医療や介護サービスなどが受けやすいこと」は61.4%、「駅や商店街が近く、移動や買い物が便利にできること」は54.1%でした。また、「手すりが取り付けてある、床の段差が取り除かれているなど、高齢者向けに設計されていること」も41.4%にのぼります。
そこで夫婦は、「今より広い家」ではなく「年を取ってからも暮らせる家」を条件に物件を探し始めました。
選んだのは、駅から徒歩7分ほどの中古マンションです。約65平方メートルの2LDKで、スーパーとドラッグストアは徒歩5分圏内。内科や歯科も近くにあります。
一戸建ては約3,900万円で売却。新居の購入価格は約4,500万円で、諸費用を含む差額は預貯金から支払いました。
「4LDKから2LDKですから、最初は本当に狭く感じました」
それでも夫婦は、大量の家具や衣類を整理し、新しい生活を始めました。
