先週の主要な経済指標:米雇用統計やECB理事会に注目
米国の雇用統計では8月の非農業部門雇用者数(以下NFP)の前月差が+16.2万人と、前月の結果や市場予想を大幅に上回りました(図表1・2)。
足もとで振れの大きい娯楽・宿泊に加え、新学期入りに伴う季節調整の歪みが出やすい地方自治体の教育部門の増加が目立ちました。データセンター建設の活発化に伴い建設業の増加基調が持続しているほか、製造業でも雇用の回復傾向が確認されました。これまで雇用を牽引してきた医療・ヘルスケアで伸びの減速がみられる一方、旺盛なAI関連需要の恩恵が波及し、雇用の裾野が広がっている可能性があります。
また、労働参加率が上昇した中でも失業率が前月から横ばいの4.1%にとどまったことは、米労働需要の底堅さを示すものです。雇用統計の堅調な結果を受けて市場では9月の利上げ観測が高まったものの、FOMCの政策判断の軸足は依然としてインフレ動向にあり、8月の消費者物価指数に市場の注目が集まります。
ECBは9月の政策理事会で、政策金利(預金ファシリティレート)を2.25%から2.50%に引き上げることを決定しました(図表3)。中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰を背景に、インフレ率の高止まりや賃金・価格設定への二次的波及を未然に防ぐため、6月に続く2会合ぶりの追加利上げに踏み切った形です。
ラガルド総裁は記者会見で、今回の利上げを「迷う余地のない判断」であったと説明しています。同時に公表されたスタッフ見通しでは物価見通しが上方修正され、声明文でも「インフレ率は長期にわたって目標を大きく上回る見込み」との警戒感が示されるなど、全体としてタカ派色が強まる内容となりました。今回の利上げにより、政策金利は中立金利の上限に達したとみられるなか、一部のECB高官からは9月以降もさらなる追加利上げの必要性も指摘されています。
次回10月会合以降、利上げサイクルを一旦休止させるか、あるいはインフレ再燃を阻止するため連続利上げに踏み切るかは、今後の地政学リスクおよびエネルギー価格の動向に強く左右される流動的な状況です。
東京海上アセットマネジメント
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
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