息子から5万円、娘へ3万円…母が黙っていた理由
真紀さんは数年前に離婚し、高校生の娘と2人で暮らしていました。フルタイムで働いていますが、家賃や教育費の負担があり、文子さんに「今月ちょっと厳しい」と相談することがあったといいます。
最初は1万円、2万円と必要なときだけ渡していましたが、いつしか月3万円ほど送るようになっていました。
健司さんは思わず聞きました。
「じゃあ、俺が送ってる5万円のうち3万円を真紀に渡してたってこと?」
「あなたのお金をそのまま渡してるつもりじゃないよ」
文子さんは否定しました。
自分の年金と健司さんからの仕送りを合わせて生活し、その中から娘を助けている。文子さんの中では、そういう認識だったのです。
しかし健司さんからすれば事情は違いました。
「俺は、お母さんが生活できないと思って送ってたんだよ。真紀に送るためなら、最初から話が違うじゃない」
文子さんは「真紀にも子どもがいるし、放っておけなかった」と話しました。一方で、健司さんに妹への援助を言えなかった理由も認めました。
「あなたに言ったら、『そこまでしなくていい』って言うと思ったから」
実際、文子さん自身の生活には余裕がありませんでした。総務省『令和6年全国家計構造調査』によると、75歳以上の高齢無職単身世帯の月平均の消費支出は13万8,285円、可処分所得は14万5,146円です。
健司さんは仕送りをすぐに打ち切ることはしませんでした。代わりに、母の毎月の収入と支出を一緒に確認することにしました。
固定資産税や光熱費、食費、医療費などを整理すると、母自身の生活にも一定の援助が必要でした。しかし、妹への月3万円まで含めて健司さんが補う形を続けることには疑問が残ります。
そこで真紀さんも交えて話し合い、文子さんからの定期的な送金はいったん終了することにしました。真紀さんも、兄から母への仕送りが自分の援助につながっていたとは知らなかったといいます。
「母を助けているつもりが、知らないうちに別の家計まで支えていた。それが一番驚きました」
親への仕送りでは、親自身の収入や支出、援助が必要になった理由を確認することも重要です。
支援する側が無理なく続けるためにも、必要な生活費と、それ以外の援助を分けて考える。家族間のお金だからこそ、曖昧にしないことが必要になる場面もあります。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

