(※写真はイメージです/PIXTA)

これまで「世界で最も安全な富裕層の資金避難先」として絶大な人気を誇ってきたドバイ不動産。しかし、2026年2月に勃発した中東情勢の緊迫化をきっかけに、市場には明確な「変化の兆し」が表れ始めています。取引件数の急減や一部エリアでの価格調整、さらには将来の供給過多や為替(ドル・円)リスクまで――。「買えば上がる」フェーズが終わりを迎える中、日本の投資家はドバイ不動産とどう向き合うべきなのでしょうか。最新のデータと現地情勢から、そのリアルな構造変化を読み解きます。

3つのシナリオで観測

今後のドバイ不動産は大きく3つのシナリオが考えられる。

 

第1は「早期停戦・再上昇シナリオ」だ。戦闘が終息し、ホルムズ海峡を含む物流や航空網が正常化すれば、現在様子見をしている海外マネーが戻る可能性が高い。人口流入や富裕層移住というドバイの構造的な強みも残っているため、現在の価格調整が結果的に買い場だったという展開も十分考えられる。

 

第2は「長期化・選別市場シナリオ」である。最も現実的なのはこのケースだろう。戦争そのものは続くものの、ドバイの日常生活や経済活動への直接的な影響は限定される。その場合、投資マネーは完全撤退せず、希少性のあるヴィラや一等地、完成済み優良物件へ集中する。一方、大量供給される郊外アパートや投資家比率の高いオフプランでは値下がりが進む。「ドバイ市場」という一つの市場ではなく、勝ち組と負け組が分かれる。

 

第3が「湾岸リスク顕在化シナリオ」である。軍事衝突がさらに拡大し、航空便、観光、物流、金融活動への影響が長期化すれば、海外投資家によるリスク回避が強まる。

 

その場合は取引件数の減少だけでなく、賃貸需要にも影響し、投資家が保有物件を売り急ぐ可能性が出てくる。大量供給と重なれば価格調整は現在より一段深くなる。

 

とはいえ、ドバイ不動産の長期的な成長ストーリーが消滅したわけではない。世界中から人と企業を呼び込み、税制、規制、インフラを武器に国際都市を作ってきたドバイの競争力は依然として高い。

 

その意味では、戦争が終われば再び世界の富裕層マネーが戻ってくる可能性は十分にある。しかし、それと「今すぐ買うべきだ」という話は別である。2020年代前半のドバイ市場では、早く買うこと自体が投資戦略になった。

 

これからは違ってくるとみられる。ドバイ不動産は「上昇する都市を買う投資」から、「リスクに見合った価格で不動産を選ぶ投資」へと変わりつつある。

 

少なくとも2026年夏の時点では、「買わなければ乗り遅れる」と焦る局面ではない。むしろ次の投資機会を決めるのは、中東情勢が落ち着いた時ではなく、地政学リスクを織り込んだ価格がどこまで下がったかを見極められた時なのかもしれない。

 

[参考元]

健美家『「安全資産」ドバイ神話は揺らぐのか。中東戦争で変わった不動産投資、「今が買い場」とは言い切れない理由

 

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