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社会保障の持続可能性を左右する「組織ガバナンス」
私たちが日々利用する医療や介護。その制度を持続させるためには、どのように財源を確保するかだけでなく、実際にサービスを提供する組織の経営をどう改善していくかも重要な課題です。
厚生労働省の推計によれば、2025年の社会保障給付費は148.9兆円に達します。2013年度の約111兆円から大きく増加しており、社会保障を支える公費負担も拡大しています。1990年から2013年にかけて、社会保障給付費が2.4倍となったのに対し、公費負担は16兆円から43兆円へと2.7倍に増加したとされています。
こうした状況を受け、政府は診療報酬や介護報酬などの公定価格を調整し、社会保障費の伸びを抑える政策を進めてきました。しかし、価格を引き下げれば、現場が直ちに効率化できるとは限りません。
生産性を高めるためには、人材の確保や業務の見直し、デジタル化など、一定の時間が必要です。価格の抑制が先行すれば、サービスの質や職員の待遇、人材確保に影響を及ぼす可能性もあります。
そこで重要になるのが、医療法人や社会福祉法人など、サービス提供の中心を担う非営利組織のガバナンスです。社会保障の持続可能性を考えるうえでは、制度の「外側」から価格を調整するだけでなく、組織の「内側」にある経営や監督の仕組みに目を向ける必要があります。
価格抑制だけでは解決できない「生産性」の問題
これまで政府は、診療報酬や介護報酬といった公定価格を調整することで、社会保障費全体をコントロールしてきました。
しかし、ここには一つの難しさがあります。それは、価格に対する経営上のインセンティブと、実際の生産性向上との間には時間差があることです。
政府が報酬を引き下げ、経営効率化を促したとしても、医療機関や介護事業者がすぐに業務を効率化できるとは限りません。生産性向上が追いつかないまま収入が減少すれば、サービスの質の低下や人件費の抑制、人材不足などにつながる可能性があります。
もちろん、経営効率化は重要です。しかし、それを価格抑制だけで実現しようとすれば、現場に過度な負担がかかるおそれがあります。
必要なのは、報酬などのマクロな政策と、個々の組織における経営改善を組み合わせることです。その意味で、非営利組織のガバナンス改革は、社会保障改革の重要な柱の一つになり得ます。

