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生活防衛資金の確保
資産を運用するにあたっては、「自分は何%の損失に耐えられるか(=許容下落率)」を考え、「元本保証の資産と、値動きのある資産を、どのような割合で持つか」を検討することが大切です。
もちろん「日常生活を送るためのお金」も、別途確保しておく必要があります。生活費の他にも、何らかの突発的な事象に備えるお金も確保しておく必要があります。「生活防衛資金」と呼ばれるものです。
生活防衛資金は、最低でも生活費の3カ月分以上必要です。半年分、1年分、2年分という考え方もあります。何が正解という訳ではありませんが、大事なことは、一定額を身近な金融機関の普通預金などに置いておくことです。
加えて、直近で使う予定のあるお金も別途確保しておく必要があります。3年後に必要な住宅購入の頭金、2年後に必要な車の買い替え費、来年からの子どもの大学の学費などです。これらを投資にまわしてはいけません。
言い方を変えると、「それ以外のお金を身近な金融機関に置いておく必要はない」のです。
意味もなく遊ばせておく必要はありません。適切に資産配分してお金にも働いてもらいましょう。
バランスの良いお金の置き場所…あなたのお金を「3つに分ける」
「身近な金融機関に置くお金」「元本保証の資産」「値動きのある資産」について、これらを少し整理してみましょう。
●生活防衛資金「普通預金」
突発的な事象に備えるお金として、生活費の3カ月から2年分程度を、いつでも引き出せる身近な金融機関の普通預金に置きます。
●守りの資産「個人向け国債(変動10年)」
リスク許容度に応じた元本保証資産の部分です。
●攻めの資産「全世界株式投資信託」
リスク許容度に応じた投資資産の部分です。
このバランスが、あなたの人生を左右します。しかし、多くの人はあまり考えずに感覚で置き場所を決めています。預金ばかりの人、投資に偏っている人、中には勧められるままに保険にたくさん加入している入もいます。極端な人が多いです。
あなたには最適な配分があります。まわりの誰かと一緒ではありません。そして、リスク許容度さえ決めれば、何も迷うことなくシンプルに決められるのです。
投資制度の選び方
次は、「投資商品をどの投資制度の上で買うのか」を考えます。
せっかく投資をするなら、税制優遇のある制度を使って投資をしましょう。ここでは、NISA、iDeCo、企業型DC、課税口座の4つについて簡単に説明します。制度の枝葉の部分は最小限に留め、選択の指針となる考え方を重点的に解説します。
少額投資非課税制度(NISA)
「利益が非課税になる」というわかりやすい制度です。売ったときにうれしさがやってきます。金融機関にもよりますが、100円から始められるほどまでハードルが低くなっています。
すべての人にお勧めできる制度ですが、特に「まずは始めてみたい」という人にはNISAをお勧めします。「私には合わない」と思ったときに、途中でやめやすいのも1つの特徴です。始める場合は、一定の低コスト商品が保証されている「つみたて投資枠」から始めましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
「掛金が所得控除になる」という制度です。買った年に即座に納税額が減るうれしさがあります。これは強力です。一方で、注意点が3つあります。
【注意点1】口座を持っているだけで手数料がかかる
iDeCo口座を作るとき、iDeCo口座を使って投資をしているとき、iDeCo口座からお金を受け取るとき、すべてに手数料がかかります。この点がNISAとは違います。
【注意点2】60歳まで現金化できない
iDeCoは年金制度なので、60歳まで続ける覚悟を持ってスタートする必要があります。「始めてみたけど、やっぱりやめたい」が許してもらえません。50歳以降に初めて加入する場合などは、受取開始年齢が60歳から最大65歳まで段階的に後ろ倒しになる点に注意が必要です。
【注意点3】税制が複雑
iDeCoは「課税の繰り延べ」を特徴とする制度です。購入時の掛金が所得控除になるのはうれしいですが、あくまで「いまは納めなくてもいいけど、あとで納めてね」ということです。受け取り時は全額が収入扱いになります。「購入時に税金が減ったと喜んでいたのに、その分の税金を受け取り時に取られた」というイメージです。
「それでは、何もうれしくないのでは?」と思われるかもしれませんが、退職金や企業年金が充実していない個人事業主や中小企業に勤める人の場合、受け取り時も退職所得控除や公的年金等控除という税制上の控除を大きく活用できるので、納税額を少なくすることができます。一方、退職金や企業年金が充実している一部の人は、納税額が多額になるかもしれません。つまり、税制上のメリットは、人によって大きな差があるのです。
iDeCoは優れた制度ですが、勤め先の退職金制度や企業年金制度を理解した上で利用しましょう。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
勤め先によっては、企業型確定拠出年金(企業型DC)という制度が採用されている場合があります。iDeCoと似ている制度ですが、会社が掛金を拠出する点が異なります。
商品は自分で選択します。受け取り時に収入として扱われる点はiDeCoの税制と同じです。
「マッチング拠出」という制度を用意している場合もあります。これは、会社の掛金に上乗せして、自分でも資金を拠出できる仕組みのことです。マッチング拠出の税制はiDeCoと同じです。マッチング拠出制度がある場合は、積極的に利用を検討しましょう。ただし、「商品ラインナップが高コスト商品ばかり」のような場合は、マッチング拠出は利用せず、iDeCoやNISAを利用するという選択肢もあります。
課税口座
普通の口座のことです。利益には課税されますし、掛金は所得控除になりません。課税口座は、前記3つの制度をフル活用してもなお余裕資金がある場合に利用してください。
※ 本記事は書籍の内容を抜粋・掲載したものであり、最新の法令・制度とは異なる場合があります。実務にあたっては必ず最新の情報をご確認ください。
小林 篤典
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