(※写真はイメージです/PIXTA)

離れて暮らす高齢の親の収入を聞き、「これだけで生活できるのだろうか」と心配になる子どももいるでしょう。仕送りは親の生活を支える方法の一つですが、親子であっても、実際に毎月いくら使い、貯蓄がどのくらいあるのかまで把握しているとは限りません。よかれと思って続けた援助が、親の考えとは違っていることもあります。

5年間で600万円…息子が初めて知った母の考え

月10万円を5年間。単純計算すれば、浩二さんが送った金額は600万円です。

 

もちろん幸子さんも、固定資産税や家の修繕などまとまった支出があるときには一部を使っていました。それでも、仕送りの大半は預金として残っていました。

 

「なんで使わないんだよ。そのために送ってたんだろ?」

 

浩二さんが尋ねると、幸子さんはこう答えました。

 

「今は年金と少しの貯金で暮らせてるから。これから何があるか分からないでしょう」

 

幸子さんには、夫が残した預貯金と自身の貯蓄もありました。ただし、決して潤沢というわけではありません。

 

今後、家で暮らし続けるのが難しくなれば、住み替えや生活支援にお金が必要になるかもしれない。家にも修繕が必要です。

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』では、65歳以上で一人暮らしをしている人は、日常生活の作業を一人でできなくなった際、同居家族以外に頼れる相手として「別居の家族・親族」を挙げる人が多くいます。高齢になるほど、離れて暮らす家族が生活を支える場面が生じる可能性があります。

 

「そのときまた浩二にお金を出してもらうのは嫌だから」

 

そう言われ、浩二さんは返す言葉がありませんでした。

 

自分は母を支えるために仕送りをしていたつもりでした。しかし母は、その仕送りを「将来、息子に支えてもらわないため」に貯めていたのです。

 

浩二さんはそこで初めて、「母さん、仕送りはもういらないだろ?」と切り出しました。

 

2人で話し合い、翌月から10万円の定額送金はやめることにしました。その代わり、家の修繕などまとまった支出が必要になったときには相談してもらうことにします。

 

内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、60歳以上の25.2%が子や孫の生活費を負担しています。親から子への援助が一定数ある一方で、家族間のお金の流れは世帯によってさまざまです。

 

親の年金額が少なければ、子どもが生活を心配するのは自然なことです。しかし、年金額だけでは、持ち家の有無や預貯金、実際の生活費までは分かりません。また、親自身が将来のお金をどう考えているかも、数字だけでは見えてこないでしょう。

 

毎月いくら渡すかを決める前に、今何に困っているのか、将来どのような支出を想定しているのかを確認する。浩二さん親子の場合、突然の帰省が、5年間続けてきた仕送りのあり方を初めて話し合うきっかけになりました。

 

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