生前に渡した現金は「贈与」か「預かり金」か?妹が語った〈たった一言〉も、審判所が「生前贈与」と判断した税務ルールとは【税理士が事例解説】

生前に渡した現金は「贈与」か「預かり金」か?妹が語った〈たった一言〉も、審判所が「生前贈与」と判断した税務ルールとは【税理士が事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

被相続人が生前、妹の自宅に持ち込んでいた現金をめぐって、税務署と妹の主張が真っ向から対立しました。カギを握ったのは、妹が調査官に語ったとされるたった一言。実際の裁決事例をもとに、「生前贈与」と「死因贈与」の判断基準をみていきましょう。

争点:「相続放棄した配偶者」の特例上の扱い

本件の争点は下記のとおりです。

 

Bさんが受け取った現金は、贈与税の対象となる「生前贈与」なのか、相続税の対象となる「死因贈与」なのか

 

民法上、贈与は当事者双方の合意によって成立し、効力を生じます。生前贈与であれば、渡した瞬間に受け取った側のものになります。

 

これに対して死因贈与は、贈与者が亡くなることによって効力が生じるという特殊な形の贈与です。「渡してはおくけれど、実際にあなたのものになるのは、私が死んだときですよ」という約束だと考えると分かりやすいでしょう。

「死因贈与」を主張する税務署、「そんな発言はしていない」とするBさん

◆税務署の主張

税務署は、調査の際のBさんの証言記録を重視しました。

 

その記録には、Aさんから現金を受け取る際に「自分が亡くなったときに残っている分を、他の相続人と分けてほしい」という趣旨のことを聞いたとBさんが述べたと記されており、税務署はこの一言を根拠に「死因贈与」であると主張しました。

 

加えて、Bさんはその現金をAさんから預かっていたに過ぎないとも主張しました。

 

◆納税者(Bさん)の主張

これに対しBさんは、まず、そのような発言をした事実はないと主張しました。

 

そして、仮に税務署の主張するような発言があったとしても、それは「死んだら渡す」という意味ではなかったはずだとも述べました。

 

実際、相続が始まる前の段階で、Bさんは他の相続人にその現金の一部を渡そうとしていました。もし本当に「死んだときに残っていた分を分ける」という約束だったのなら、Aさんが生きている間に分けようとするのは筋が通らない、というわけです。

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