(※写真はイメージです/PIXTA)

日本政府が抱える巨額の財政赤字。「このままでは破綻するのでは」と不安を抱く人も多く、報道番組等でもしばしば議論となっています。しかし、経済評論家の塚崎公義氏は「破綻のリスクは極めて低い」と指摘します。いったい、なぜでしょうか。

③増税で景気が悪化しても、失業が増えなくなる可能性

筆者は、財政赤字を放置してもよいと考えているわけではありません。無理なく増税できるのであれば、増税して赤字を減らすべきです。その意味から筆者が注目しているのは少子高齢化による労働力希少(労働力不足と呼ぶ人が多い)です。

 

10年も経てば、労働力がさらに希少になり、「増税して景気が悪化しても失業が増えない」時代が来ると思います。すでに来ているのかもしれません。そうなれば、増税反対論の大きな根拠が失われることになります。

 

さらに言えば、労働力希少がインフレをもたらし始めています。賃金の上昇が売値に転嫁されるという経路に加え、たとえば建設労働者が不足して新築マンションが建たず、マンション価格が高騰するということも起きているようです。

 

そうなれば、増税をして景気をわざと悪化させ、インフレを抑え込む必要が出てくるかもしれません。インフレ抑制には、日銀の利上げが有効なのですが、金利が上がると政府の金利支払いが増えるので、政府が日銀に頼むかもしれません。「金利を上げないでくれ。その分、政府が責任をもって増税して景気を抑え込み、インフレを止めるから」という具合です。

 

そうなれば、増税は財政再建とインフレ抑制の一石二鳥の政策となるので、大いに推進力が働き、財政赤字が一気に縮小するかもしれません。

 

余談ですが、政府が「インフレで困っている庶民のために支出を増やす」としている点については、筆者は否定的です。需要が供給を上回ってインフレが起きているときに、支出を増やせば庶民の消費が増えてインフレが加速してしまうかもしれないからです。

④国債暴落は起こり得るが、破綻は回避できるかも

投資家がいつまでも日本国債を買い続けるとは限りません。考えられるのは、大手格付機関が日本国債を「投機的」とすれば、大手機関投資家が一斉に日本国債を売るかもしれません。

 

そうした可能性は皆無ではありませんが、それでも最後の瞬間に大逆転が起きると筆者は期待しています。その話は別の機会に。

南海トラフ大地震が起きたら、話は別

上記にかかわらず、南海トラフ大地震が来れば、財政は破綻するでしょう。日本経済が壊滅的な打撃を受け、税収は激減して復興費用は天文学的な数字になるでしょうから。それは仕方のないことですが、少しでも被害を減らせるように、防災対策のための予算はいまのうちから充実させておく必要があるでしょう。

 

ちなみに「南海トラフ大地震が来たときに財政出動できるように、政府の借金を減らしておくべきだ」という人もいるようですが、多少頑張って借金を減らしても、桁の違う財政支出が必要になるでしょうから、焼け石に水といったことになる可能性が大きいでしょう。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

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