縮小する国内市場、海外へ活路
喫煙率の低下などによって国内のたばこ市場が縮小するなか、JTは海外市場への進出を積極的に進めてきました。
専売制度改革によって外国たばこの輸入・販売が自由化され、JTは国内市場でも外国たばこ企業との競争にさらされるようになりました。財務省の資料でも、専売制度改革後、JTの国内市場シェアは低下する一方、合理化や効率化を進め、海外事業を拡大してきたことが示されています。
JTは1999年、米国のRJRナビスコから海外たばこ事業を約78億ドルで買収し、国際展開を本格化させました。その後も海外企業の買収などを通じて、グローバルな事業基盤を築いています。
国内市場が縮小しても、世界には現在でも喫煙率の高い国や地域があります。こうした市場を取り込むことが、JTにとって重要な成長戦略となっています。
加熱式たばこ、多角化で生き残りを図る
JTは海外展開だけでなく、事業の多角化も進めてきました。財務省の資料によれば、1990年代後半から食品や医薬品分野などを中心に、企業買収による多角化を進めています。
さらに現在では、従来の紙巻きたばこに加えて、加熱式たばこという新しいカテゴリーの製品も展開しています。
たばこ市場そのものが縮小するなか、既存の紙巻きたばこだけに依存するのではなく、新しい製品や海外市場、たばこ以外の事業へと収益源を広げていく。これは、たばこ産業が市場縮小に対応するための一つの経営戦略といえるでしょう。
時代劇のキセル、刻みたばこは今もある?
最後に、個人的な興味ですが、テレビの時代劇では、キセルに刻みたばこを詰めて吸う場面が登場します。私は以前から、「この刻みたばこはどこで手に入れるのだろう」と思っていました。
そこでJTの商品リストを調べてみると、現在でも刻みたばこが販売されていることが分かりました。
専売制度から民営化へ、そしてグローバル化へ――。たばこを取り巻く制度や市場は大きく変化してきました。その一方で、キセルで刻みたばこを吸うという、かつてのたばこ文化も形を変えながら残っています。
市場が縮小し、健康への配慮から規制が強まるなかでも、たばこは依然として大きな税収を生み出す商品です。たばこ産業の歴史を振り返ると、専売制度、税制、規制、そして企業のグローバル化が、互いに深く結びついていることが分かります。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
【注目のセミナー情報】
【事業投資】9月8日(火)オンライン開催
《即時償却×想定利回り8.4%》
無人運営で手間なし!「ワーキングブース投資」の全貌
【国内不動産投資】9月16日(水)オンライン開催
初期費用の最大95%短期償却も!
収納ニーズの増加で注目高まる「トランクルーム投資」
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

