「このまま甘やかし続けるなら……」父の宣言
言葉で何度言っても、妻には届かない。ならば、数字で現実を見せるしかない――。
誠司さんは夫婦の毎月の収入と支出、そして今後想定される医療費や介護費などを書き出し、このまま達哉さんへの援助を続けた場合、どれだけのペースで貯蓄が減っていくのかを、紙にまとめました。
「今はまだ貯金がある。でも、俺たちだって年を取る。自分たちに介護が必要になったとき、お金がなければどうするんだ?」
そして最後に、誠司さんは藍子さんにこう告げたのです。
「これ以上甘やかすなら、俺たち別居しよう。息子と共倒れになるか、2人で老後を守るか選んでくれ」
一方、達哉さんにもこう言い渡しました。
「うちにいられるのは、長くてもあと半年だ。地元でも東京でもいいから働くこと。来月からは小遣いもゼロにする。バイトでもいいから月3万円を家計に入れなさい」
達哉さんは最初こそ戸惑い、不満を漏らしました。しかし、両親の老後資金が無限ではないことを知り、重い腰を上げてハローワークへ通い始めました。
藍子さんもまた、自分が達哉さんの世話を焼きすぎていたことに気づきます。「かわいそうだから」と何でもしてあげることが、必ずしも息子のためになるわけではない。ようやくそれを理解したのです。
