違法なお金は「理由」によって所得区分が変わる
所得税が課せられる「所得」については、それを手に入れた理由や原因は問わないということですが、理由や原因は、「所得区分」には影響を与えます。理由や原因によって、税金を負担することができる力(担税力)が異なってくるからです。
ちなみに、お金を盗むと窃盗罪(刑法235条)に、強盗をはたらくと強盗罪(刑法236条)に問われます。横領(刑法252条)も、業務上横領(刑法253条)も犯罪です。
犯罪行為で得た利得まで「所得」であると税法が認めることは、国が犯罪行為を追認したことにならないか、という議論もありますが、現行の所得税法は「所得」について性質を問いません。「犯罪によって得た所得なら課税されない」というのは、公平ではないからです。
ただし民法上では、「不当利得」といって、「法律上の原因なくして得た利得」は返還しなければならないとされています(民法703条、704条)。盗みや強盗・横領によって得たお金は、当然ですが被害者に返されるべきものなのです。それでもいったんは「所得」として認識され、所得税の課税対象になります。
返すべきお金でも、税法は「所得」とみなす
こうした「違法な利得も所得になる」という考え方は、「いつ課税すべきか」という「所得の年度帰属」の問題にも関係します。所得税法は「収入」のかたちで「所得」を把握する方法をとっているからです(所得税法36条1項)。
「管理支配基準」という考え方が適用され、法的には返還すべきものでも、事実上、管理・支配をしたのであれば、その年に「収入」があった(つまり「所得」があった)と考えるのです。
そして、あとで被害者に返還した場合には、その時点で「所得」がなかったことになりますので、「更正の請求」という手続をすれば、いったん所得として認識して納めた税金(所得税)は還付されることになります。もちろん、発覚していない自分の罪がばれるような所得税の確定申告をする人は、通常いないと思いますが……。
木山 泰嗣
青山学院大学法学部教授(税法)/同大学大学院法学研究科ビジネス法務専攻主任
鳥飼総合法律事務所客員弁護士
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
【注目のセミナー情報】
【決算対策 】9月25日(金)オンライン開催
「GPUサーバー」はただの設備ではない?
税制優遇を活用する「戦略的資産」としての役割
【事業投資】9月30日(水)オンライン開催
年商1,600万円・年間利益600万円のモデルケースを公開!
信頼のECCブランド「個別指導塾ベストワン」の経営戦略


