自己破産手続き中のゲーム課金=「免責不許可」なのか
今回のケースを見てみると、着目すべきポイントが2つあります。
①借入れ原因は何だったか
免責不許可事由は、「浪費によって財産を減少させた・過大な債務を負担した」といったように、借金の原因としての事情を想定した規定となっております。仮に、ゲーム課金が借入れや借金が増大した主な原因だったならば、今回のゲーム課金については重く受け止められることになります。また、そのせいで調査などに無駄な時間がかかるとか、嘘をついてしまったといった事情があれば、反省の色がなく、手続に誠実に従っていないとして別の免責不許可事由に該当する可能性が出てきます。
他方で、たとえば、投資詐欺にあった等、ゲーム課金とは無関係な事情であれば、手続妨害の側面があったとしても、そこまで問題視されない可能性があります。
②ゲーム課金をした際の状況
次に、実際に使用した際の状況です。具体的には、使用した金額とその資金源です。今回は総額5万円程度、給与収入の約20万円の範囲内での支出であり、新たな借入れをしたわけではありません。そうすると、家計次第ではありますが、余裕のある家計であったならば悪質性は薄れるでしょうし、逼迫した家計であるならば悪質性は高まることになるでしょう。
このように、今回のケースが直ちに免責不許可になる、と決めつけられるものではありません。ただし、裁判所が質問してきたということは、「手続き中に浪費とも取れる支出をしたこと」自体が、252条2項の裁量免責における「一切の事情」の中で、誠実性・反省の態度を判断する材料として見られている可能性が高いと考えられます。
どんな姿勢を示せば「免責が認められる可能性」が高まるか
裁判所や破産管財人から照会(質問)を受けた場合、対応の基本姿勢は「誠実に事実をありのまま伝えること」です。
裁量免責の判断において裁判所が本件で重視するのは、次のような点だと考えられます。
①事実を隠さず、正確に説明しているかどうか
課金の時期、金額、頻度、資金の出どころ(給与の範囲内か、借入れをしたか)などを、時系列で具体的に説明しているかどうかを裁判所は見ます。変によく見せようとして事実を歪めたり、都合の悪い部分を隠したりすると、かえって心証を悪くし、免責不許可のリスクを高めてしまいます。
②反省の態度があるかどうか
なぜ課金をしてしまったのか、その行動が手続きにどのような影響を与えかねないと本人が理解しているのか、今後どのように改善していくか等を裁判所は見ます。自分の言葉で具体的に説明することが重要です。裁判所や管財人から反省文の提出を求められることもありますが、たとえばAIに作成させるといったことで楽をするのではなく、真摯に受け止めて素直に謝罪しましょう。その際は弁護士に反省文を必ず見てもらうようにしましょう。
裁判所からの照会に対して真摯に向き合う姿勢そのものが、252条2項の「一切の事情」の中で、誠実性を示す重要な要素になり得ます。
最終的な判断が未定の状態で「気をつけること・今すぐできること」
弁護士から「最終的な判断はまだ分からない」と言われている段階では、次のことを心がけるとよいでしょう。
①ゲーム課金を含め、新たな浪費・ギャンブルを一切しない
今後も同様の支出を続けてしまうと、「反省していない」「改善する意思がない」と判断され、裁量免責が認められにくくなります。
②家計の収支を記録し、いつでも説明できる状態にしておく
通帳の履歴やレシートなど、支出の内容を裁判所や管財人にいつ求められても説明できるように整理しておきましょう。
③裁判所・管財人からの連絡には迅速かつ誠実に対応する
照会や追加資料の提出を求められた際は、期限を守り、担当弁護士と相談しながら対応します。対応が遅れたり不誠実だったりすると、それ自体が新たな不安要素になりかねません。
澁谷 望
BEARD法律事務所
弁護士
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