「私、何かした?」2ヵ月後に母がかけた電話
連絡が減ったまま2ヵ月ほど経ったころ、洋子さんは我慢できず、智子さんへ電話しました。
「私、何かした?」
智子さんは驚きました。
「急にどうしたの?」
「お金を送ってから、全然連絡してこなくなったでしょう」
そして洋子さんは、ずっと気になっていたことを口にしました。
「もしかして、お金を出してもらうまでは連絡しようと思ってたの?」
智子さんはしばらく黙ったあと、「そんなふうに思ってたの?」と答えました。
智子さん側にも事情がありました。
息子の入学後、引っ越しや各種手続きが続き、さらに智子さん自身も職場で異動があり、生活が大きく変わっていました。
加えて、息子が大学進学を機に「写真をおばあちゃんに毎回送るのは恥ずかしい」と言うようになり、それまでのように孫の近況を細かく送ることが減っていたのです。
「お母さんから80万円もらったことと、連絡が減ったことは全然関係ないよ」
智子さんはそう説明しました。一方で、洋子さんの言葉を聞いて初めて、自分たちが援助を受けた後にほとんど近況を伝えていなかったことにも気づいたといいます。
「もらうときだけ連絡して、その後何も言わなかったように見えたなら、ごめん」
洋子さんも、自分が「お金を出したのだから頻繁に連絡してほしい」と考えていたわけではありません。ただ、あまりにタイミングが重なったため、援助と家族とのつながりを結びつけて受け止めてしまっていました。
なお、祖父母が孫の教育費を負担する場合、通常必要と認められる学費や教材費などを必要な都度渡し、実際に教育費として使うのであれば、贈与税はかかりません。一方、将来の教育費としてまとまった金額を一括で渡し、そのまま預貯金として残る場合などは、贈与税の対象となることがあります。
その後、母娘が以前とまったく同じ頻度で連絡を取るようになったわけではありません。孫も成長し、智子さん一家の生活も変わっています。
それでも月に数回、智子さんから近況を知らせるLINEが届くようになりました。洋子さんも、「連絡が来ないからって、すぐ悪いほうに考えないようにしないとね」と振り返ります。
援助の直前と直後で連絡の頻度が大きく変われば、渡した側が複雑な感情を抱くこともあります。お金を渡すときだけでなく、その後も近況を伝えたり、感謝を言葉にしたりすることが、家族間の余計な誤解を減らすことにつながります。
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