「もう止めてほしい」長男が明かした家庭の事情
実は彩香さんは、1年以上前に仕事へ復帰していました。勤務時間は短くなったものの、夫婦の収入だけでも生活できる状態に戻っていたといいます。
それでも雄太さんは、明美さんからの7万円を断りませんでした。
「住宅ローンもあるし、教育費もこれからかかるから。もらえるなら助かると思ってた」
しかし彩香さんは、以前から仕送りを終わらせたいと話していました。
毎月7万円が入ることを前提に外食やレジャーの予算が増え、雄太さん自身も「足りなければ母に相談すればいい」と考えるようになっていたからです。
さらに彩香さんには別の負担もありました。
「お義母さんからこんなにしてもらっているんだから、休みの日には顔を出さなきゃ」
そう考え、家族の予定より明美さんとの約束を優先することもあったといいます。明美さんにとっては初めて聞く話ばかりでした。
「私は来てほしいからお金を渡していたわけじゃないよ」
「分かってる。でも彩香は、もらってばかりなのがずっと気になってたみたい」
夫婦はそのことで何度か口論になり、最終的に雄太さんが「自分たちの収入で生活しよう」と決めました。
明美さんは寂しさより、申し訳なさを感じたといいます。
「助けているつもりだったけれど、向こうがどう感じているのか、一度も聞いたことがありませんでした」
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、将来的な財産の使い道について、「財産は自分のために使いたい」と答えた人は33.0%、「遺族等へ財産を残したい」は35.9%。高齢期の資産は家族に残したり援助したりするだけでなく、自身の生活や将来の医療・介護に備える役割もあります。
明美さんは翌月から7万円の仕送りをやめました。孫への誕生日プレゼントも、毎回高価なものを用意するのではなく、予算を決めて贈ることにしました。
浮いた7万円をそのまま使うことはせず、65歳以降の生活費や自宅設備の交換、医療費などに備えて貯蓄しています。
一方、雄太さん夫婦は家計を見直し、毎月の収入の範囲で生活費と教育費を組み立てるようになりました。
明美さんと息子一家が疎遠になったわけでもありません。以前より訪問の回数は少なくなりましたが、孫の行事や家族の予定が合う日に食事をする関係は続いています。
家族への援助は、金額だけでなく「いつまで」「何のために」を共有しておくことも重要です。親子それぞれの生活が変われば、それまで必要だった支援が必要ではなくなる時期もあります。
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