離婚時は、「家の名義」と「ローンの条件」を必ず確認
実際に離婚が決まったら、まず住宅の名義と持分、住宅ローンの債務者・保証人、ローン残高、抵当権、現在の住宅価格を確認し、「売却するのか」「どちらかが住み続けるのか」を検討する必要があります。
住宅価格がローン残高を上回れば、売却代金で完済する方法があるほか、どちらかが住み続ける場合は、ペアローンや連帯債務を住み続ける側の単独債務へ変更できないか、金融機関へ相談します。
現在の金融機関が一本化を認めなくても、他の金融機関への借り換えによって単独債務にできる場合もあります。当然、新たな審査は必要ですが、「いまの銀行でできない=解決できない」というわけではありません。
また、事例に出てきたような「ローンは夫名義のまま、妻と子どもが住み、夫は別居する」といった形には注意が必要です。住宅ローンは原則として本人が居住する住宅を対象としているため、契約条件に抵触する可能性があります。
金融機関や契約内容によっては一括返済などの対応を求められる可能性もあるため、夫婦だけで判断せず、必ず金融機関へ確認してください。
完璧な「離婚対策」は存在しない…マイホーム購入時に持つべき視点
そして最後に、あえて身も蓋もない結論をお伝えします。夫婦で住宅を購入する以上、完全な離婚対策は存在しません。
もちろん、将来の離婚を前提に住宅を購入する必要はありませんが、だからといって「私たちに限って離婚はない」と考え、借入可能額や住宅ローン減税など目先のメリットだけでペアローンや連帯債務を選ぶのも危険です。
厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の離婚件数は18万5,904組。1年間だけでも、これだけ多くの夫婦が離婚しています。
一方で、かつて住宅ローンは最長35年が一般的でしたが、近年は40年、50年という商品も珍しくなくなりました。住宅ローンを組んだ時点では想像もしなかった環境変化が、その後の人生には起こり得ます。転職、収入減少、病気、親の介護、そして離婚もその一つです。
どの住宅ローンを選べば離婚しても絶対に困らないのか――残念ながら、その答えはありません。だからこそ、住宅購入時には「いまの夫婦にとって得か」だけではなく、「将来、夫婦を取り巻く環境が変わった際にも整理しやすい形か」という視点も持っておきたいところです。
離婚時に住宅ローンで揉める原因は、離婚したタイミングで突然生まれるのではありません。住宅を購入したその日に、すでにその種がまかれているかもしれないのです。
市川 貴博
株式会社エフアンドエス・エキスパート 代表取締役
CFP®
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