【事例2】債務者じゃないのに…離婚後、夫の返済延滞で妻が“家を失う”リスク
次は、3人家族のB一家のケースです。夫は38歳・年収450万円で、妻は39歳・年収200万円。二人には、10歳の子どもがいます。
夫婦は、夫だけが債務者となり、借入金額3,800万円で住宅ローンを組みました。毎月の返済額は11.4万円です。妻は住宅ローンの債務者でも、連帯債務者でも、連帯保証人でもありません。
ただし、妻の親から受けた資金援助を自己資金として住宅購入に充て、その負担額に応じて妻も住宅の持分を所有しています。
その後、夫側に離婚原因が生じ、夫が自宅を出て、妻はそのまま住み続けることになりました。離婚時には、「住宅ローンは夫が今後も支払い続ける」と約束したため、妻からみれば、自分は住宅ローンを借りていませんから、夫が約束どおり返済を続ければ、特に問題はないように思えます。
しかし、夫が返済を止めた場合、状況は一変します。
住宅ローンを借りる際、通常は購入した土地や建物に金融機関の抵当権が設定されます。つまり、妻が債務者や保証人でなくても、自宅そのものが住宅ローンの担保になっている以上、「私は借りていないので関係ありません」では済みません。返済が滞り、最終的に担保不動産の処分へ進めば、妻は住み続けたい自宅を失う可能性があります。
住宅ローンの返済義務は夫にありますが、それでも妻が自宅を守ろうとした場合、結果的に夫の住宅ローン返済を肩代わりせざるを得ない状況に追い込まれることもあり得ます。「債務者ではないから安心」とは限らないのです。
【CFPが解説】「家の名義」と「住宅ローン」は別物
この2つの事例で重要なのは、「家を所有している人」と「住宅ローンを返済する人」は必ずしも同じではないという点です。B夫婦の事例からわかるように、返済義務がなくても、自宅が担保に入っていれば影響を受けます。
また、夫婦間で「家は妻のものにする。ローンは夫が払う」と合意しても、自動的に金融機関との契約内容が変更されることはありません。債務者や連帯保証人から外れるには金融機関の承諾が必要です。
では、ペアローンや連帯債務を避け、夫だけの単独債務にすれば安心かというと、そうとはいえません。事例2のように、妻が住宅ローンを借りていなくても問題は生じます。
つまり、住宅ローンの組み方を変えても、「ペアローンだから危険」「単独債務なら離婚に強い」と単純に割り切ることはできないのです。
