「寂しかった」と伝えて初めて分かった娘の本音
節子さんは真由美さんに電話をしました。
「今年も来られないのは残念よ」
これまでなら口にしなかった言葉でした。真由美さんは驚きました。
「そんなに楽しみにしてたの? 全然言わないから、マンションでみんなと過ごすんだと思ってた」
節子さんは、娘に気を使わせたくなくて、寂しいとは言わないようにしていました。一方の真由美さんも、母にはマンション内の知人や行事があり、自分たちが頻繁に訪ねなくても生活を楽しんでいると考えていたのです。
「来てほしい日があるなら、言ってくれたほうが予定を考えやすいよ」
そう言われ、節子さんは今後、家族と過ごしたい日は早めに伝えることにしました。
ただ、それだけではありません。これまで館内の催しには気が向いたときだけ参加していましたが、週1回の体操教室と月2回の茶話会に定期的に顔を出すようになりました。
同じマンションに住む女性と昼食へ出かけることも増えています。
内閣府の同調査では、何らかの社会活動に参加している人は5,437人、特に参加していない人は6,328人でした。孤独感の有無は家族構成だけで決まるものではなく、日常的に人と関わる機会があるかどうかも一つの要素になります。
「家族に会いたい気持ちは変わりません。でも、娘たちが来る日だけを楽しみに暮らすのはやめました」
高齢者向け住宅には、安全面や生活支援のメリットがあります。ただ、住まいを変えただけで、人とのつながりまで整うわけではありません。
家族に会いたいときにはその気持ちを伝えながら、普段の生活にも人と関われる場を持つ。特別な日の寂しさをなくすことは難しくても、日常のつながりを増やすことで、一人で過ごす時間の受け止め方は変わっていきます。
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