「広い家を持つこと」より大切になったもの
住み替えて最初に変わったのは、休日の過ごし方でした。
以前は春から秋にかけて、庭の手入れや家の修繕について考えることが少なくありませんでした。現在は建物の共用部分を管理組合・管理会社が管理するため、自分たちで屋根や外壁の工事を手配する必要はありません。
室内もワンフロアです。恵子さんは、「洗濯物を持って階段を上らなくていいだけでも楽になった」といいます。
オートロックや有人管理も安心材料になりました。戸建てに住んでいたころは旅行へ行くたび、新聞を止め、郵便物を気にし、庭が荒れないか心配していました。今は長期間留守にする際の負担も減っています。
一方、タワーマンションならではの費用もあります。
管理費と修繕積立金、駐車場代を合わせると月約7万円。固定資産税も安くありません。将来的に修繕積立金が上がる可能性もあるため、「戸建てより何でも安くなったわけではない」と隆夫さんは話します。
「金銭面だけを比べれば、ここに移る必要はなかったかもしれません。でも、家のことで自分たちがやらなければならないことは確実に減りました」
夫婦は車も1台手放し、必要なときだけレンタカーやタクシーを利用するようになりました。
長男からは当初、「5,000万円以上出して、今からマンションを買うの?」と心配されました。
それでも隆夫さん夫婦は、資産をできるだけ多く残すことより、元気なうちに生活環境を整えることを優先しました。
「子どもに残すことばかり考えて、大きな家を最後まで持っていても、私たちが大変なら意味がないと思ったんです」
現在も預貯金には余裕を残し、どちらかに介護が必要になった場合の費用や、将来さらに住み替える可能性にも備えています。
戸建てとマンションのどちらが高齢期に向いているかは、一概には決められません。戸建てには広さや自由度がある一方、建物や庭を自分で管理する必要があります。マンションでも管理費や修繕積立金など継続的な負担があります。
重要なのは、現在の住まいを維持できるかだけではなく、年齢を重ねた後も無理なく生活できるかという視点です。住居費、移動手段、買い物や通院、建物の管理まで含めて考えることで、自分たちに必要な住まいの条件も見えやすくなります。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

