「来てほしくないわけじゃない」初めて娘に伝えた本音
その日の夜、美智子さんは隆さんに孫からの電話について話しました。
「今年も5日くらいなのかな」
すると隆さんは、「もう去年みたいにはできないよ」と答えました。
隆さんは前年から膝を痛め、長時間歩くことがつらくなっています。美智子さんも最近、腰痛で整形外科へ通い始めました。
さらに今年は、お盆明けに夫婦で2泊3日の旅行を予定していました。
「娘たちが帰った後に旅行なんて、体力がもたないと思う」
数日後、由佳さんから「13日から17日まで行こうと思ってるよ」と連絡が届きました。美智子さんはそこで初めて、5日間の宿泊は難しいと伝えました。
「今年は2泊くらいにしてもらえない?」
由佳さんは驚きました。
「どうしたの? 毎年楽しみにしてくれてたじゃない」
「会えるのはうれしいよ。でも、食事を作ったり布団を用意したりするのが、前より大変になってきたの」
美智子さんは、これまでの帰省でどのくらい費用がかかっていたのかも初めて話しました。
すると由佳さんは、「そんなに使っていたとは思わなかった」といいます。
娘一家にとって、お盆の帰省は「実家に泊まりに行く」感覚でした。しかし美智子さん夫婦にとっては、4人を数日間迎える準備が必要な年中行事になっていたのです。
話し合った結果、今年は2泊3日に短縮。食材の買い出しは由佳さん夫婦も一緒に行き、費用も負担することにしました。外食代も各世帯で支払い、娘夫婦だけで外出する時間は設けません。
孫には、美智子さんから「おばあちゃんたちも旅行に行くから、今年は2回お泊まりしようね」と説明しました。孫は特に不満を示さず、「じゃあ何して遊ぶ?」と聞いてきたといいます。
美智子さんは、その反応にも拍子抜けしました。
「孫ががっかりすると思って、勝手に無理をしていた部分もあったのかもしれません」
家族の帰省は、迎える側にとってもうれしい機会です。ただ、年齢や体調が変われば、以前と同じ人数、日数、費用を負担し続けることが難しくなる場合もあります。
宿泊日数や食費、外出の予定を事前に相談しておけば、どちらか一方だけが無理をする必要はありません。長年続けていく習慣だからこそ、その年の状況に合わせて過ごし方を変えていくことも必要です。
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