娘一家のお盆帰省、嬉しいはずが…蘇る「お正月の記憶」
「孫に会えるのは嬉しいんです。でも……」
そう言葉を濁すのは、新潟県内に住む76歳の女性・美保子さん(仮名)。今年のお盆、娘一家が帰省することになり、本当は夫とともに家族が集まるのを心待ちにしたいところでした。特に、孫の陽斗くん(仮名・11歳)、凛ちゃん(仮名・9歳)の成長を見るのは、祖母として何よりの楽しみです。
しかし、去るお正月に会った時のことを思い出すと、純粋に楽しみとは言い切れない苦い思いが胸をよぎるのです。
娘一家は3年ほど海外赴任をしており、お正月は久しぶりの再会でした。赴任前に会ったとき、孫たちは元気いっぱいに走り回り、こちらがへとへとになるまで遊んだものでした。「孫の近くに住んでいる人は大変ね」と夫婦で笑いあいながら、しばしの別れを名残惜しんだ記憶が残っています。
だからこそ、久々の再会を前に、美保子さん夫婦は約15万円の予算を用意していました。近所の神社への初詣や雪遊び、少し足を延ばして水族館に行く計画も立てていました。
「お正月だし、せっかくだから美味しいものを食べさせてあげたい」と、おせちだけでなく、子ども用のご馳走を準備し、スーパーでもつい買いすぎてしまったほどです。
そうして迎えたお正月。「大きくなったね」と孫たちを大歓迎した美保子さん夫婦。しかし、その後に広がったのは想像とはまったく違う光景でした。
久々の再会に胸躍らせるも…「孫疲れ」とは程遠い現実
孫たちはそれぞれ自分専用のタブレットを持ち、滞在中の多くの時間、下を向いて画面に見入っていたのです。
「せっかく来たんだから、ばあば・じいじと遊ぼうよ! 外で雪遊びする? 寒いなら一緒にテレビ観るのでもいいよ」
美保子さんがそう声をかけると、一瞬だけ顔を上げるものの、すぐに目線は画面へ。
「私らには興味ないみたいだと、寂しくなりましたよ。久々でしたし、人見知りもあったみたいですが……。水族館に連れ出したら、笑顔が見れたのは嬉しかった。でも、そのときも隙あらばタブレットを見たがるんですよね。色々検索するのが好きみたい」
結局、体力をそれほど使うこともなく、娘一家は帰路へ。世間で聞く「孫の相手でヘトヘトになった」という愚痴すら、羨ましく思えてしまったといいます。
「もう少しタブレットから離したほうがいいんじゃないかと娘に言ったら『いまどきはこんなもの』と一蹴されてしまって。あまり子育てに口を出すのも何ですし……。今回は、夏の思い出に花火をしたりプールに行ったりしたらと思っているんですが、室内でゲームのほうが楽しいのかしら。時代なのかもしれませんが、少し悲しいですよね」
