(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親の年金額を知り、「本当に生活できているのだろうか」と心配する子どもは少なくありません。しかし、老後の収入は公的年金だけとは限りません。預貯金の取り崩しに加え、不動産収入や株式の配当などが家計を支えているケースもあります。大切なのは、収入額だけでなく、その資産を今後どう管理していくかです。

「収入があっても安心できない」母が備えていた理由

浩二さんは当初、「それだけ収入があるなら心配ないね」と安心しました。しかし、節子さんは否定しました。

 

「家賃は給料じゃないの。ずっと同じように入ってくるとは限らないでしょう」

 

実際、数年前には1室が半年間空室になり、別の年には外壁補修で約200万円を支出しました。

 

国税庁によると、不動産所得は、家賃などの総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。固定資産税や損害保険料、減価償却費、修繕費など、不動産収入を得るために直接必要な費用は必要経費になり得ます。つまり、家賃として振り込まれた金額すべてが自由に使える利益ではありません。

 

株式や投資信託も同じです。

 

金融庁は、株式や投資信託には預貯金より高いリターンを期待できる一方、元本割れのおそれがあると説明しています。そのうえで、リスクを抑える方法として長期・積立・分散投資を挙げています。

 

節子さんは毎月の生活費を約15万円に抑え、不動産収入の一部は修繕専用の口座へ移しています。株式の配当も、生活費にはほとんど使わず、将来の介護や住み替えに備えていました。

 

「毎月入ってくるから使っていい、とは思ってないの。アパートが古くなればお金はかかるし、私が管理できなくなる日も来るから」

 

浩二さんが心配したのも、まさにその点でした。

 

母が元気なうちは問題ありません。しかし、入院や認知機能の低下などで判断が難しくなれば、管理会社や金融機関とのやり取りを誰が引き継ぐのか決めておく必要があります。

 

そこで節子さんは、所有する不動産、預貯金、証券口座、管理会社、税理士の連絡先を一覧にし、浩二さんにも共有しました。アパートをいつまで所有するのかについても、今後親子で話し合う予定です。

 

年金額が少ないからといって、生活が苦しいとは限りません。一方、不動産や金融資産があれば老後の安心が保証されるわけでもありません。高齢期には、毎月いくら入ってくるかだけでなく、修繕や税金、価格変動への備え、そして将来誰が資産を管理するのかまで整理しておくことが大切です。

 

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