「年金6万円で大丈夫なの?」息子が初めて知った母の家計
「母さん、年金っていくらもらっているの?」
長男の浩二さん(仮名・53歳)から尋ねられ、節子さん(仮名・78歳)はあっさり答えました。
「6万円くらいよ」
「それだけ?」
浩二さんは驚きました。
節子さんは夫を9年前に亡くし、現在は一人暮らし。住宅ローンを完済した戸建てに住んでいます。
年に一度は友人と旅行へ出かけ、外食もしています。数年前には自宅の給湯器を交換し、昨年は100万円以上かけて屋根も修繕しました。
「年金6万円で、どうやって生活してるの?」
「でもお金の心配はしてないよ」
節子さんはそう答えるだけで、詳しく説明しませんでした。
浩二さんが母の家計を知ることになったのは、その数ヵ月後です。節子さんが入院し、公共料金の支払いなどを代わりに確認することになりました。
通帳を見ると、年金とは別に毎月20万円を超える入金があります。
「これ、何のお金?」
退院後に尋ねると、節子さんは「家賃よ」と答えました。
節子さん夫婦は30年ほど前、小さな賃貸アパートを購入していました。夫が亡くなった後は節子さんが相続し、管理会社に運営を任せています。
4室ある部屋の家賃収入は、満室なら月約26万円。管理委託料や修繕用の積立などを差し引くと、手元に残るのは月平均18万円ほどでした。
さらに、別の口座には年に数回、株式の配当金が入っています。
夫婦は現役時代から少額ずつ株式や投資信託を購入しており、夫の死後もすべて売却せずに保有していました。直近1年間の配当などは税引き前で約90万円です。
「お父さんが亡くなったあと、分からないことは税理士さんや管理会社に聞いたの。年金だけで暮らしているわけじゃないのよ」
息子が想像していた以上に、節子さんは自分の資産を把握していました。
総務省の『令和6年全国家計構造調査』によると、75歳以上の高齢無職単身世帯の実収入は月15万5,129円、可処分所得は14万5,146円、消費支出は13万8,285円でした。あくまで平均ですが、公的年金以外の収入を持つ世帯も含まれています。
