「お金を出さない」と伝えると…週末に変化
「これからは、お祝いもお小遣いも今までみたいには出せないの」
真理子さんがそう伝えると、由佳さんは驚きました。
「急にどうしたの? お金に困っているの?」
「今は何とか暮らせているけど。でも、これから自分にいくら必要になるか分からないから」
由佳さんは「分かった」と答え、それ以上は何も言いませんでした。
高校の入学祝いには1万円を渡しました。それまでと比べれば少ない金額ですが、真理子さんは無理のない範囲で祝いたいと考えたのです。
ところが、そのころから娘一家が訪ねてくる回数が減りました。
月に1、2回あった訪問は、数ヵ月に一度ほどに。真理子さんから「今度遊びに来ない?」と連絡しても、「部活が忙しい」「予定がある」と断られることが増えました。
孫が成長し、祖母の家へ遊びに行く機会が減ること自体は不自然ではありません。それでも真理子さんには、どうしても気になることがありました。
「以前は誕生日が近くなると娘から連絡があったんです。それが、お金を出せないと言ってから、ほとんどなくなりました」
一度だけ、真理子さんは由佳さんに尋ねました。
「私がお金を出さなくなったから、来なくなったの?」
由佳さんは否定しました。
「そんなことじゃないよ。子どもたちも大きくなったし、みんな忙しいだけ」
その答えが本当なのか、真理子さんには分かりませんでした。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、2025年の推計で男性18.3%、女性25.4%。高齢期には、家族との交流だけを生活の支えにするのではなく、日常的に人と関われる場所を持つことも重要になります。
真理子さんはその後、友人に誘われて地域の体操教室へ通い始めました。以前は「孫が来るかもしれない」と週末の予定を空けることもありましたが、今では自分の予定を先に入れるようにしています。
孫への誕生日プレゼントもやめたわけではありません。予算を決め、本人が欲しいものを聞いて選びます。ただし、高額な商品や現金を当然のように渡すことはしなくなりました。
家族への援助は、余裕のある範囲で続けるのであれば大きな問題にはなりません。しかし、会えることへの期待から無理をしてお金を出し続ければ、自分の生活を圧迫することもあります。孫との関係と金銭的な援助を切り分け、自分の老後に必要な資金を確保したうえで付き合い方を考えることが大切です。
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