息子の「別に、軽蔑なんかしないよ」という一言
葬儀から2週間後、長男の聡さんが様子を見にやってきました。部屋の端にはほこりが溜まりはじめ、キッチンからは微かに生ゴミの匂いが漂い、届いている封書やDMは机に積まれたまま。何より修一さんの顔には覇気がありませんでした。
父親の「うまくいっていない生活」の痕跡は、隠しきれていません。そんな修一さんに、聡さんは静かに言いました。
「親父、困ってることあったら何でも聞いてよ。電話でもLINEでもしてっていっただろ? ずっと家事を全部お袋に任せてたんだから、急に一人で全部できるわけないだろ。そんなことで誰も親父を軽蔑したりしないよ。うちの奥さんも心配してるんだから」
その一言に、修一さんの肩の力がふっと抜けました。「頼れる父親でいなければならない」「生活力がないなんて恥ずかしい」というプライドが解けていくのを感じました。
「私は、どこかで『自分のお金で家族を養っている、だから責任は果たしている』と思っていました。ですが、妻がいなければ何もできなかったことに改めて気づきました」
夫婦は一緒に死ねない。だからこそ必要な「生活力の備え」
総務省「令和3年社会生活基本調査」によると、家事関連で1日に費やされた時間は、65歳以上では男性が5.1%であるのに対して女性は15.8%。男女で大きな差があることがわかります。
夫婦にはそれぞれ得意・不得意があり、家計管理をどちらか一方が担うこと自体は珍しくありません。しかし、口座や保険、年金、毎月の支払いなど、生活を維持するための情報まで一人しか知らない状態は、大きなリスクになり得ます。
「私は、お父さんより長生きするから」という言葉に悪気はありませんでした。ですが人生は、思い描いた順番どおりには進みません。
残された家族が困らないよう、元気なうちから家計や手続きについて話し合い、必要な情報を共有しておくこと。それもまた、夫婦がお互いにできる「最後の思いやり」なのかもしれません。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
【注目のセミナー情報】
【事業投資】8月13日(木)オンライン開催
未経験・1人運営でも目指せる
『買取大吉』の高収益モデルの全貌
【事業投資】8月19日(水)オンライン開催
「信頼と安心」のブランド力を活かした
『ECCの個別指導塾ベストワン』という選択

