「現在何が問題なのか」をまず考える
Q
築25年のマンションです。汚れてきたのと家族数も減ったので、リフォームをしようかと考えています。どのようなことに注意しながら進めたらよいのでしょうか。
A
「どのようにリフォームしたいのか」というより、「現在何が問題なのか」をまず考えましょう。これを押さえておくことにより、余計なリフォームを避ける等、ぶれのないリフォームを計画することが可能です。
(1)生活上の問題点をあげてみる
暮らしやすさ、快適性の確保のために暮らしと建物の矛盾を少なくしようというのがリフォームです。生活上のソフト面の向上、専有部分の建物の「建築・電気・管(給排水)設備」というハード面の向上がリフォームの目的です。まずは、生活上の問題点をあげてみましょう。汚れてきて気にしていること、不便を感じていることを考えましょう。気に入っているところを残していくことも大切ですので、忘れずにあげておきましょう。
毎日の時間軸で、家族の生活パターンを追いながら、改善すべき箇所をあげていきます。春夏秋冬の季節による気温の変化などへの対応も考えてみましょう。電気容量の過不足、分電盤の位置、停電時への備え、感震ブレーカー設置などについてもリフォーム時にチェックを行いましょう。
(2)業者の選定と予算計画
次に、信頼できる業者を選び、リフォームの希望を伝えます。設計と見積りの打合せは、十分に納得できるまで行ってください(※書籍 第3章Q1~Q5参照)。
並行して、概算の予算を立てて資金繰り計画を立てます。途中であれもこれもと欲張って、終わってみたら予算オーバーとならないように、リフォーム箇所の優先順位も考えておきましょう。工事の期間(いつから着手していつまでに終わらせたいか)については、余裕をもって計画してください。
また、管理規約や細則の専有部分のリフォーム工事に関する規定をチェックして、違反工事とならないように気をつけましょう。
住居の性能を向上させる「スケルトンリフォーム」
(3)リファイン(スケルトンリフォーム)
間取り等の変更を計画する場合、給水・給湯・排水など水回りについては、構造上動かせない場合もありますので、気をつけましょう。間取りの変更によって下階の住戸に生活音が大きく伝わる場合もありますので、これも要注意です。
コンクリート体を残して内装はすべて更新してしまう工事(スケルトンリフォーム)は費用がかかりますが、多様な要望に応え、基本的な性能を向上できるチャンスでもあり、以下のような工事が可能となります。
①防火性能の向上
古いマンションでは、上下左右の区画になる壁の穴を塞いでいない場合がありますが、スケルトンリフォームでは、火事のときに延焼を防ぐ(燃え広がないようにする)など防火性能を向上させることが可能となります。
②断熱性能の向上
間仕切りがなくなるので、断熱材を全体に効率よく工事できます。古いマンションは断熱性能が低く、結露を発生させる原因であることも多いことから、これは温熱環境の向上といえます。
③設備配管の把握・更新
給水・給湯・排水・空調の系統や管自体の状態を確認しやすくなります。体に埋め込まれている管を含めて、大規模修繕工事のときまで性能を発揮できるのかもチェックできます。エアコン設置時のドレーン管の配置なども考慮しましょう。