リフォームは「区分所有権」を有する部分に限られる
Q
マンションのリフォームについて、自分の部屋であればどんなリフォームをしてもかまわないのでしょうか。区分所有法という法律があると聞きましたが、何か注意すべきことはありますか。
A
マンションの所有関係については、区分所有法が規定しています。各区分所有者の区分所有権が及ぶ範囲は専有部分についてのみであり、リフォームもその専有部分についてのみ行うことができるのが原則です。
(1)専有部分
「1棟の建物」に「構造上区分された数個の部分で」「独立して」「建物としての用途に供することができるものがある」場合、区分所有法の適用により、その各部分はそれぞれ所有権の目的とすることができます(区分所有法1条)。
マンションの場合がそうです。マンションにおいて、リフォームをすることができるのは、自分が区分所有権を有する部分に限られるのが原則です。これを専有部分(区分所有法2条3項)といいます。それ以外の部分は共用部分といい(同条4項)、複数の区分所有者の共有に属します。
したがって、各区分所有者が自己の判断で勝手にリフォームをすることはできません。共用部分とは、「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物」(区分所有法2条4項)です。区分所有法4条1項および2項では以下の部分が共用部分とされています。
①数個の専有部分に通ずる廊下または階段室
②その他構造上区分所有者の全員またはその一部の共用に供されるべき建物の部分
③本来は専有部分であるが各マンションの「規約により共用部分とすること」とされた部分
この②において、構造上、建物を支える体部分は共用部分です。具体的には、居室内のコンクリートでできた構造壁などです。リフォームの際にこのような構造壁に勝手に穴をあけたり、あるいは居室の間取りを変更しようとしてこの壁を取り払ったりすることはできません。
また、玄関扉やアルミサッシュ、ガラスについても注意が必要です。これらは、防火の役割を担うものであり、本体そのものは専有部分に属しません。区分所有者が、勝手に自分の趣味・嗜好に合致するデザイン・仕様の扉等に交換することなどはできません。
「共用部分」に関する工事が可能となる場合とは?
(2)共用部分
ただし、共用部分に関する工事であっても可能となる場合があります。
区分所有法17条1項は、共用部分の変更について総会(集会)の特別多数による決議が必要としていますが、ここでいう「変更」とは共用部分について形状または効用を確定的に変えることを意味するとされています。
そして、これに至らない変更(形状または効用の著しい変更を伴わないもの。軽微変更といいます)については除外されており、同法18条において規定されるところとなります。同条では、総会(集会)の普通決議によるとされ、また、これについては「規約で別段の定めをすること」が認められています(同条2項)。
たとえば、マンション標準管理規約(単棟型)では、この場合の手続について17条に定められており、区分所有者が専有部分の修繕工事を実施する場合に理事長による承認を得ることとし(同条1項)、承認の範囲内においてそれに係る共用部分の工事ができるとされています(同条4項)。
(3) 管理規約・細則の確認
専有部分、共用部分の区別については管理規約に規定されていることが多いので、必ず確認してください。
また、リフォーム工事に関する規約や細則を定めているマンションも多いので、必ず確認してください。