(※写真はイメージです/PIXTA)

築年数が経過したアパート、特に木造や軽量鉄骨造の物件において、入居者の不満の第1位は「音」の問題です。空室対策として内装を綺麗にするだけでは、入居後の早期退去は防げません。本記事では、三澤智史氏が一級建築士の視点から、大規模な中古物件の構造上の弱点をどう補強し、現代の入居者が求める静穏性とプライバシーを確保して資産価値を高めるかを解説します。

【関連記事】

築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】

テレワーク時代にも「選ばれる物件」へ…実現可能な付加価値戦略

近年の入居者ニーズとして、テレワークに対応した通信環境の整備や、遮音性に優れた作業空間作りも必須です。実際、無料のインターネットは、全国賃貸住宅新聞によると、入居者に人気の設備のなかで第1位という統計もあります(※2)。

 

インターネットの導入には、建物に光回線を引き込み、共用部から各戸へ分配する方法があります。まず、道路側からアパートの電気室などに光回線を引き込み、共用部やその先の各住戸へ配線する手順です。木造アパートであれば、天井ボードと上階の床とのあいだにスペースがあることが多いため、天井に設けてある点検口を活用して各戸へ配線できます。

 

テレワークのための作業空間の設計には、壁や天井に吸音材パネルを貼って隣室への音漏れを抑制する方法があります。または、机を窓際や壁際に設置し、厚手のカーテンやローパーティションで部屋を仕切れば、半個室化できプライバシーの確保も可能です。

 

これらの工夫によりテレワーク向けの物件として付加価値を高め、周辺相場より高い家賃設定も可能になり、入居率を維持できる可能性があります。

築古の弱点を克服するために…「防音・通信」のセルフ診断

中古アパート経営において、維持管理コストを無理に抑えたり、外観だけの表面的なリフォームに注力したりするあまり、防音性能が後回しにされてしまうケースは多いです。

 

しかし、防音性能が低いことによる入居者からのクレーム対応の手間や、そのあとの対策費用を考えると、多少の費用を掛けてでも早期に対策したほうが、結果的に費用を抑えられることも。テレワークの需要に配慮した静穏性やプライバシーの確保とともに、検討が必要です。

 

以下のチェックリストにより、アパートの運用に問題がないかどうかチェックしましょう。

 

出所:筆者作成
[図表]「防音・通信」健全性チェックリスト 出所:筆者作成

 

築年数を経たアパートであっても、構造的な弱点を的確に補強することで、現代の入居者が求める「静かな生活環境」に限りなく近づけることが可能です。「隣人の気配がストレスにならない」という合格ラインをクリアすることは、既存物件の再生において十分に現実的な目標となります。

 

「音が気になるから引っ越そう」という入居者の離脱を一人でも減らすこと。その実直な積み重ねが、地域の中で埋没することのない、持続可能な資産へと物件を育てていきます。

 

〈参考〉

※1 株式会社CHINTAIの統計
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000003782.html

※2 全国賃貸住宅新聞の統計
https://www.zenchin.com/news/content-1258.php

 

 

三澤 智史氏(一級建築士/一級建築施工管理技士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

 

【関連記事】

築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】

本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧