月10万円では足りなかった…移住後に届いた請求書
「思っていたより、お金がかかるな」
移住から半年後、雄介さんは家計簿を見ながらつぶやきました。
最初の誤算は、自動車でした。移住前は自転車と公共交通機関で暮らすつもりでしたが、大きな買い物や通院、冬場の移動には不便を感じます。中古の軽自動車を購入すると、車両代のほか、保険料やガソリン代、車検への備えが必要になりました。
古い家では、雨どいの修理や害虫対策にも費用がかかります。住民税は前年の会社員時代の所得を基に請求され、退職直後の国民健康保険料も想定より高額でした。
年間支出を計算すると、月平均は約13万円。移住前に掲げた「月10万円」を超えていました。
雄介さんは資産を大きく取り崩すのではなく、週に2日ほど、以前の勤務先から業務委託で仕事を受けることにしました。収入は月5万~8万円ほどです。
「完全に働かないことが目的ではありませんでした。嫌だったのは、生活のすべてを仕事の予定に合わせることだったんです」
午前中に仕事を終え、午後は畑を借りて野菜を育てます。晴れた日は川沿いを歩き、地域の図書館にも通うようになりました。
一方、資産運用による利益には税金がかかる場合があります。国税庁によると、上場株式等の配当や譲渡益には原則として所得税等と住民税が課され、源泉徴収口座では一定の場合に申告不要制度を選択できます。NISA口座内の一定の配当や譲渡益は非課税ですが、制度や口座の条件を確認する必要があります。
雄介さんは、生活費2年分にあたる現金を確保し、それ以外の資産を一度に売却しない方針にしました。住宅や車の修繕費も、月10万円の日常生活費とは別に積み立てています。
現在の支出は、臨時費用を除けば月約10万~11万円。収入の少ない月は資産から補い、仕事が多かった月は取り崩しません。
会社員時代より収入は大幅に減りました。それでも、雄介さんには、以前より豊かになったと感じる時間があります。
「朝起きて、今日は何をするか自分で決められるんです。会社員のころは、日曜日の夜から翌朝のことを考えていました」
雄介さんが手に入れたのは、支出を把握し、できる仕事を続けながら、自分で一日の使い方を決められる暮らしでした。
「月10万円あれば十分です。ただし、家が壊れたときのお金まで10万円で済むわけではありません。その現実が分かったから、今の生活を続けられています」
地方へ移れば、誰でも少ない資産で早期退職できるわけではありません。雄介さんは収入を完全に手放すのではなく、働く時間と暮らす場所を自分で選び直すことで、新しい日常をつくったのです。
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