「あと20年も続けられない」年収750万円…消えなかった不安
「会社を辞めて、地方へ引っ越そうと思う」
雄介さん(仮名・43歳)がそう伝えると、両親はすぐに反対しました。
「せっかく正社員で働いているのに、どうして辞めるんだ」
雄介さんは大学卒業後、都内のIT関連企業に就職。退職前の年収は約750万円で、独身でした。
繁忙期には終電近くまで働き、休日にも仕事の連絡が入ります。40歳を過ぎたころから、「この生活をあと20年続けられるのか」と考えるようになりました。
FIREを意識したのは、30代半ばです。毎月の給与から15万円前後を貯蓄や投資へ回し、賞与も大半を残しました。外食や旅行をすべて我慢したわけではありませんが、車を持たず、家賃の低い部屋に住み続けたといいます。
43歳の時点で、預貯金と投資信託などの金融資産は約3,800万円になっていました。
ただし、資産運用だけで一生暮らせると考えたわけではありません。相場が下落すれば資産は減り、病気や介護で支出が増える可能性もあります。
そこで雄介さんが選んだのは、資産を取り崩しながら、必要に応じて少額の収入も得る「サイドFIRE」でした。
移住先に選んだのは、以前旅行で訪れた地方都市です。新幹線の停車駅までは車で約40分かかりますが、スーパーや病院は自転車で行ける範囲にあります。
空き家バンクで見つけた平屋を約450万円で購入し、屋根や水回りの修繕に約300万円をかけました。移住後も手元には3,000万円ほどが残る計算です。
「家賃がなくなれば、月10万円で暮らせる。足りなければ、少し働けばいいと思いました」
退職後の毎月の予算は、食費3万円、光熱費1万5,000円、通信費5,000円、日用品や交通費などに2万円。残りは税金や保険料、住宅の維持費に備えます。
総務省『家計調査報告(家計収支編)2024年平均結果』によると、単身世帯の消費支出は月平均16万9,547円。雄介さんの月10万円生活は平均を大きく下回るため、住居費を抑え、自炊を基本とすることが前提です。
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