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後継者に「引き継ぐ」事業と「廃止する」事業の決め方

前回は、現在の「会社規模」が適正かどうかを見極め、過大な場合にはスリム化する重要性について説明しました。今回は、後継者と話し合い、「引き継ぐ」事業と「廃止する」事業を振り分けるべき理由を見ていきます。

会社の変える部分、変えない部分を整理する

会社の規模という大枠について検討した上で、次に会社のもう少し細かい部分について具体的に考えます。部門ごとなどに分けた業績分析を行っていれば、それが十分参考になるはずです。

 

たとえば、以下のようなチェックポイントが考えられます。

 

●不採算部門について赤字からの改善や、黒字化した際の利幅に将来性は見出せるのか

 

●現経営者が事業承継した際にはどの事業を引き継ぎ、どの事業は引き継がなかったか。また、その理由は何か

 

●現経営者が新たに始めた事業はあるか。また、それはなぜ始めたのか

 

こうした点を明らかにし、それをもとに会社の変える部分、変えない部分を現経営者と後継者とで話し合っていけばよいのです。当然、業績の良い部門は変えない、不採算部門は変えるというのが基本となりますが、現時点の数字のみで判断すべきではありません。

自身が経験した「前回の事業承継」を振り返る

ここで考えてみたいのは、現経営者もまた事業承継を経験しているならば、先代から引き継いだのはどの事業であったかということです。これについても書き出して簡易的なレポートなどにまとめ、後継者との対話の場で両者で検討すべきです。

 

中でも注目すべきは引き継がなかった事業があった場合です。なぜそういった決断に及んだかを考えることが、今回の事業承継に大きな示唆を与えてくれます。

 

おそらく、そのような事業のほとんどは赤字事業だと考えられますが、それだけではなく、その時々の時流や将来性というフィルターにかけ、赤字であり、かつ将来的にも黒字化する見込みがない、あるいは大きな黒字の幅が見込めないからという理由で、その事業を継ぐ必要がないという判断が下されたのかもしれません。

 

この段階では既に、業界動向や同業他社の情報との比較が行われている(または、同時並行的に行っている)はずです。

 

したがって、その分析結果をもとに、現状、不採算部門である事業について、後継者はそのまま引き継ぐのか、変革させた上で引き継ぐのか、あるいは引き継がずに廃止するのか、経営者と後継者で十分に考えてみましょう。

 

そのうえで次は、会社の「変えない」部分、そのまま引き継ぐ部分に進みます。ここでも、まず現経営者に先代がいるならば、今度はそこから何を引き継いだか、なぜそれを引き継いだのかを振り返ってみることがポイントとなります。

 

当たり前のように引き継いだ事業でも、改めて振り返ってみることで、無意識のうちに現経営者が大切にしようと思ったことや、使命感を感じて守ってきたものが浮かび上がるかもしれません。もしそうだとすれば、それこそが今回の事業承継を経ても、今後、後継者に変わらずに守り続けてほしいものである可能性があるのです。

 

また現経営者の代で新たに取り組んだ事業もあるでしょう。もしそれが前記の会社スリム化の検討を経てもなお引き継ぐ事業として残っているのであれば、やはり同様にどういった理由で立ち上げたのかなどの経緯を改めてここで明らかにし、後継者との対話の中できちんと伝えておく必要があるといえます。

浅野会計事務所 所長
仰星監査法人 代表社員 税理士・公認会計士

1965年8月名古屋市生まれ。
1990年名古屋大学卒業。監査法人伊東会計事務所(現・あずさ監査法人/名古屋事務所)で10年間実務に従事、ノウハウを学ぶ。2000年2月、 浅野会計事務所を開業。創業以来、200件を超える事業者の適正申告や経営改善、事業承継など様々な側面からサポートを行っている。

著者紹介

連載1年で事業承継を実現するためのトラブル回避法

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

 

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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