前回は、後継者と話し合い、「引き継ぐ」事業と「廃止する」事業を振り分けるべき理由を説明しました。今回は、「不採算部門」や「承継しない事業」を処理する方法を見ていきます。

先延ばしにして後継者に処理させるのはNG

変える部分と変えない部分を明らかにした次のステップとして、変える部分についてはどのタイミングで着手しておくべきでしょうか。ここでは後継者が引き継がないことになった事業をどのようにすればいいかということを考えてみます。

 

結論からいえば、先延ばしにして後継者に処理させるより、むしろ現経営者が積極的に関与できる現在の段階で処理しておく方がよいものです。

 

こういった承継しない事業を終了させるためには、どのような手続きが必要であるか、どのくらいの金銭的負担を要するかを調べ、レポートにしておくべきです。そのレポートを元に、後継者と話し合い、実際に承継せずに終了させることが決まった場合には、関係者への連絡を行う必要があります。

 

[図表]会社の今後を決めるために経営計画をたてる

終了させる事業に代わる、新事業の立ち上げは必要か?

ここで同時に考えなければならないのは、その承継しない事業に代わって、何か新たな事業をはじめるのか否かです。

 

先ほど、会社のスリム化も場合によっては考えるべきと説明しました。つまり、果たしてこの事業は会社の今後にとっての損失のもととなってしまうのか、スリム化の一貫で畳んでしまうべきものなのか、それとも、会社規模縮小の観点から考えて補填事業の必要があるのかなどの、見極めが必要になります。

 

一般的には終了させる事業に代わる新事業の立ち上げが必要と言われることも多いものです。しかし、単純な流れで簡単に判断してしまってはいけません。会社規模との兼ね合いも踏まえ、後継者と熟慮して見なければならない部分です。その結果、もしかするとこの機会に今まで表に出てこなかった新たな事業のアイデアが、後継者から出てくるかもしれません。

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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