「その通帳も棺桶に入れてもらったら?」…長男が叩きつけた断絶。〈資産8,500万円〉〈年金月21万円〉77歳男性、潤沢な資産を守り抜いた“代償”

「その通帳も棺桶に入れてもらったら?」…長男が叩きつけた断絶。〈資産8,500万円〉〈年金月21万円〉77歳男性、潤沢な資産を守り抜いた“代償”
(※写真はイメージです/PIXTA)

8,500万円の資産と持ち家を手にし、老後のお金の不安とは無縁だった77歳男性。しかし、「俺の金にたかるな」と家族すら疑うようになったことで、気づけば広い自宅に一人きり。大切な財産を守り抜いた先で、彼が失ったものとは――。

財産を守り切った先に残った、静寂と冷えた惣菜

あれから2年。昭三さんは広い家にポツンと一人。夕食はスーパーの半額シールが貼られた冷めたお惣菜。通帳には相変わらず大金が刻まれていますが、それを使って美味しいものを食べて笑い合う相手はいません。

 

近所で見かける同年代が、孫と手を繋いで歩いている姿を窓から見るたび、昭三さんの胸はモヤモヤします。

 

「……電話一本かければ、子どもたちは来てくれるだろうか」

 

そう思いつつも、余計なプライドと「また金を狙われるのでは」という消えきらない猜疑心が邪魔をして、溜息をつくだけの毎日です。

お金は「守り続けるもの」ではなく「生きる道具」

高齢になると、将来への不安や認知機能の変化などから、お金への執着が強まることがあります。「減らしたくない、誰にも渡したくない」という思いが行き過ぎると、本来守るべき家族との関係まで失ってしまいかねません。

 

こうした「老後の孤立」は、決して他人事ではありません。厚生労働省「2024年国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯のうち一人暮らしの割合は32.7%に達しています。高齢者の単独世帯が増えるなか、家族との関係が希薄になると、体調の変化や認知機能の低下など、小さな異変に気づいてくれる人がいなくなるリスクも高まります。

 

昭三さんも、8,500万円という資産がありながら、そのお金を使って人生を豊かにすることも、家族との時間を育むこともできていません。財産は守り切れたとしても、気づけば食卓を囲む相手も、気軽に電話をかけられる家族もいなくなってしまったのです。

 

なお、以前とは明らかに違うお金への執着や被害的な発言、物忘れなどが見られる場合は、認知機能の低下が隠れている可能性もあります。家族だけで抱え込まず、地域包括支援センターなど専門機関に相談することも大切です。

 

通帳の残高は、人生を豊かにするための手段に過ぎません。棺桶に通帳を持っていくことはできても、その数字をあの世で使うことはできません。

 

だからこそ、お金を守ることだけに固執するのではなく、生きている今を豊かにし、大切な人との時間のために使うこと。その積み重ねこそが、老後の本当の安心につながるのではないでしょうか。

 

 

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