(※画像はイメージです/PIXTA)

「子どもの名義で預金しておけば、そのお金は子どものものになる」。そう考えている人は少なくありません。しかし、預金の名義と、税務上の所有者が一致するとは限りません。同じ親から、同じ時期に、同じ金額が振り込まれていても、その後の経緯によって、一方は贈与税の非課税制度を利用でき、もう一方は親の相続財産として相続税の対象になることがあります。姉妹名義の口座にそれぞれ1,000万円が振り込まれていた事例をもとに、「名義預金」の判断基準について貝井英則税理士が解説します。

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姉妹名義の口座に1,000万円ずつ振り込んだ父

AさんとBさんは姉妹です。

 

父親は、2人が幼いころ、それぞれの名義で銀行口座を開設していました。当時は教育費などに使うための口座でしたが、その後は残高がほとんどないまま、長く使われていませんでした。

 

父親が亡くなる11年ほど前、姉のAさんが住宅の購入を検討していたころのことです。

 

Aさんは、住宅ローンや購入に伴う税金、利用できる優遇制度などについて調べていました。

 

ある日、父親はAさん名義の口座に1,000万円を振り込み、Aさんにこう伝えました。

 

「お前名義の口座に1,000万円を入れておいた。ここから引き出して、住宅購入に使いなさい。これが通帳と印鑑とキャッシュカードだ。これからはお前が管理すればいい」


この口座はAさん名義ではありましたが、それまでは父親が通帳、印鑑、キャッシュカードを保管していました。父親は、1,000万円を振り込んだことを伝えるとともに、それらをAさんへ渡しました。

 

住宅購入について調べるなかで、親から住宅資金の援助を受けた場合には贈与税の問題が生じることを知っていたAさんは、税理士に相談しました。


税理士からは、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば非課税制度を利用できること、その適用を受けるためには、贈与税額が生じない場合でも申告が必要であることなどの説明を受けました。

 

Aさんが購入する住宅は、当時の制度上、1,000万円までの非課税措置を受けられる要件を満たしていました。

 

そこで父親とAさんは、1,000万円をAさんに贈与したことを確認する契約書を作成しました。Aさんはその資金を住宅購入代金に充て、期限内に贈与税の申告を行い、非課税制度の適用を受けました。

 

実は父親は、同じころ、妹のBさん名義の口座にも1,000万円を振り込んでいました。

 

ただし、Bさんに対しては、口座の存在や金額について具体的には説明しませんでした。

 

父親がBさんに話したのは、「お前のことも、ちゃんと考えているから」
という程度のことでした。

 

Bさんは、この言葉を、父親が自分の生活や将来についても気にかけてくれているという意味に受け取りました。

 

Bさん名義の口座の通帳、印鑑、キャッシュカードは、その後も父親が保管していました。

 

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