贈与契約書や贈与税申告があれば安心なのか
贈与契約書は、贈与があったことを示す重要な資料です。しかし、契約書を作成しただけで、必ず贈与が認められるわけではありません。
たとえば、毎年贈与契約書を作成していても、通帳や印鑑を贈与者が持ち続け、名義人が預金の存在を知らず、自由に使用できないのであれば、実態は名義預金ではないかと疑われる可能性があります。
贈与税の申告についても同様です。申告書は有力な資料になりますが、申告したという事実だけで、預金の帰属が決まるわけではありません。
反対に、贈与契約書がないからといって、直ちに贈与が否定されるわけでもありません。贈与は口頭でも成立し得るからです。
重要なのは、書類を作ることだけではなく、次のような実態を整えることです。
・受贈者が贈与を受けることを承諾する
・通帳等の管理を受贈者へ移す
・受贈者が自分の判断で使用できる状態にする
・必要な贈与税申告を行う
昔の入金でも相続財産になる
Bさん名義の口座に1,000万円が振り込まれたのは、父親が亡くなる約11年前でした。
「それほど前の入金であれば、もう相続税には関係しないのではないか」と思うかもしれません。
しかし、名義預金の問題は、過去の贈与に対して、あらためて贈与税を課すという話ではありません。
Bさんへの贈与が成立しておらず、1,000万円が父親の財産のままだったのであれば、その預金は父親が亡くなった時点でも父親の財産です。そのため、入金から長期間が経過していても、相続財産に含める必要があります。
名義預金について、「入金から何年か経過すれば相続財産ではなくなる」と考えることはできません。
