(※画像はイメージです/PIXTA)

「子どもの名義で預金しておけば、そのお金は子どものものになる」。そう考えている人は少なくありません。しかし、預金の名義と、税務上の所有者が一致するとは限りません。同じ親から、同じ時期に、同じ金額が振り込まれていても、その後の経緯によって、一方は贈与税の非課税制度を利用でき、もう一方は親の相続財産として相続税の対象になることがあります。姉妹名義の口座にそれぞれ1,000万円が振り込まれていた事例をもとに、「名義預金」の判断基準について貝井英則税理士が解説します。

贈与契約書や贈与税申告があれば安心なのか

贈与契約書は、贈与があったことを示す重要な資料です。しかし、契約書を作成しただけで、必ず贈与が認められるわけではありません。

 

たとえば、毎年贈与契約書を作成していても、通帳や印鑑を贈与者が持ち続け、名義人が預金の存在を知らず、自由に使用できないのであれば、実態は名義預金ではないかと疑われる可能性があります。

 

贈与税の申告についても同様です。申告書は有力な資料になりますが、申告したという事実だけで、預金の帰属が決まるわけではありません。

 

反対に、贈与契約書がないからといって、直ちに贈与が否定されるわけでもありません。贈与は口頭でも成立し得るからです。


重要なのは、書類を作ることだけではなく、次のような実態を整えることです。

 

・贈与者が何を贈与するのかを具体的に伝える
・受贈者が贈与を受けることを承諾する
・通帳等の管理を受贈者へ移す
・受贈者が自分の判断で使用できる状態にする
・必要な贈与税申告を行う

昔の入金でも相続財産になる

Bさん名義の口座に1,000万円が振り込まれたのは、父親が亡くなる約11年前でした。

 

「それほど前の入金であれば、もう相続税には関係しないのではないか」と思うかもしれません。

 

しかし、名義預金の問題は、過去の贈与に対して、あらためて贈与税を課すという話ではありません。

 

Bさんへの贈与が成立しておらず、1,000万円が父親の財産のままだったのであれば、その預金は父親が亡くなった時点でも父親の財産です。そのため、入金から長期間が経過していても、相続財産に含める必要があります。

 

名義預金について、「入金から何年か経過すれば相続財産ではなくなる」と考えることはできません。

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