父の死後、相続税申告を税理士に依頼
それから11年ほどが経過したころ、父親は病気療養を経て亡くなりました。母親はすでに亡くなっていたため、相続人はAさんとBさんの2人です。
Aさんは、住宅を購入した際の贈与税申告を依頼した税理士に、父親の相続税申告についても相談しました。
税理士は、姉妹から提供された通帳や取引明細をもとに、父親の預金残高や、亡くなる前の入出金を確認しました。姉妹が用意できた父親の通帳や取引明細は、おおむね直近5年分でした。
また、税理士から、ほかに父親から受けた贈与や家族名義の預金に心当たりがないか確認されましたが、AさんとBさんには心当たりがありませんでした。
税理士は、確認できた父親名義の預金や不動産などをもとに相続税申告書を作成し、期限内に提出しました。
税務調査で知らされたBさん名義の1,000万円
相続税申告からしばらくして、税務調査が行われることになりました。
調査官は、Bさんに尋ねました。
「Bさん名義の口座に、約1,000万円が残っています。この口座をご存じでしたか」
「いいえ。初めて知りました」
Bさんは、自分名義の口座に約1,000万円があることに驚きました。
「通帳や印鑑はお持ちですか」
「持っていません。口座があることも知りませんでした」
「この口座には、お父さまが亡くなる約11年前に、お父さまの預金から1,000万円が入金されています。お父さまから、この1,000万円を贈与すると具体的に言われたことはありますか」
「ありません。ただ、『お前のことも、ちゃんと考えている』と言われたことはあります」
「この口座からお金を引き出したことはありますか」
「口座があること自体知らなかったので、引き出したこともありません」
調査官は、Bさん名義の1,000万円について、Bさんに贈与された預金ではなく、実質的には父親が所有していた「名義預金」ではないかと指摘しました。
Bさんは、さらに驚きました。
「私名義の口座なのに、私のお金ではないのですか」
