(※写真はイメージです/PIXTA)

家賃や配当など、年金以外の収入を得ている高齢者もいます。親が不動産を所有していることは知っていても、毎月いくら入っているのか、金融資産をどの程度持っているのかまで、成人した子どもが把握しているとは限りません。

「古いアパートだから大したことない」と思っていたが…

「固定資産税の書類、ちょっと見てくれない?」

 

母・芳江さん(仮名・77歳)から電話を受けた長男の和也さん(仮名・50歳)は、週末に実家を訪れました。

 

芳江さんは10年前に夫を亡くし、一人暮らしをしています。受け取っている年金は月約8万円です。

 

和也さんは、母に家賃収入があることは以前から知っていました。実家から少し離れた場所に、父親が30年ほど前に建てた4戸の小さなアパートがあるからです。

 

ただ、築年数も経っています。和也さん自身が管理に関わったことはなく、「空室もあるだろうし、修繕費を引いたら、それほど残らないのだろう」と思っていました。

 

そのため、年金が月8万円と聞いたときには心配したこともあります。

 

「生活費、大丈夫なの?」

 

「何とかなってるわよ」

 

芳江さんはいつもそう答えました。和也さんも、家賃収入を足せば暮らしていけるのだろうと、それ以上詳しく聞くことはありませんでした。

 

ところがその日、税金関係の書類を整理していると、芳江さんが通帳や確定申告の控えを持ってきました。

 

「これも一緒に見てもらおうかしら。最近、数字を見るのが面倒になってきて」

 

和也さんが確認すると、アパートは現在4戸中3戸が入居中。管理会社への手数料や共用部分にかかる費用などを差し引いた入金額は、月平均で約18万円ありました。

 

「こんなに入ってるの?」

 

「満室のころは、もう少しあったわよ」

 

さらに書類を見ていくと、見慣れない証券会社の書類が出てきました。

 

芳江さんは、夫の存命中から株式や投資信託も保有していました。

 

もともとは夫婦の老後資金として少しずつ購入してきたもので、夫が亡くなった際に一部を相続。その後も大きく売買することなく保有を続け、配当金や分配金を受け取っていたのです。

 

年間の受取額は約60万円。月平均にすると約5万円でした。

 

年金約8万円、家賃収入約18万円、配当・分配金が平均約5万円。単純に平均すれば、毎月約31万円の収入がある計算です。

 

「母さん、そんなに収入があったの?」

 

和也さんが驚くと、芳江さんは笑いました。

 

「毎月31万円を自由に使えるわけじゃないわよ」

 

国税庁『令和6年分申告所得税標本調査』によると、不動産所得者の1人当たり平均所得金額は約542万円でした。不動産を所有していても、家賃収入のすべてが手元に残るわけではなく、固定資産税や管理費、修繕費などの負担もあります。

 

そして芳江さんの言葉どおり、入ってくる金額だけを見れば余裕がありそうな家計にも、事情がありました。

 

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