「親孝行のつもり」が親を追い詰める?「孫疲れ・孫貧乏」の現実
「孫に会えるのは嬉しいけれど、正直しんどい……」
よし子さんのように、帰省シーズンになると密かに心を痛めるシニア世代は少なくありません。特に子どもが複数人いて、それぞれの家族が集まると、親世代にかかる負荷は一気に跳ね上がります。さらに近年の酷暑、物価高、光熱費の高騰が、シニア層の「孫バテ・孫貧乏」に拍車をかけています。
内閣府による令和2年度「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」によると、高齢者が望む子どもや孫とのつきあい方について、圧倒的に割合が多かったのは「子どもや孫とは、ときどき会って食事や会話をするのがよい(56.8%)」でした。
子世代からすれば「みんなで集まって賑やかに過ごすことが親孝行」という善意から始まっている帰省であっても、大人数分の食費や光熱費、レジャー費を負担する年金生活者にとっては、家計を圧迫する死活問題になりかねません。
断りたくても「ケチだと思われたくない」「親としてのプライド」から無理をしてしまうケースが多いのです。
70代以降は、体力や健康状態が年々変化します。昔のように大人数での賑やかなお泊まりを受け入れる体力的・精神的ゆとりは無くなっていくのが当然です。
たとえば、滞在期間を減らし、日帰りや1泊程度にする。あるいは、実家に泊まるのではなく近場のホテルを取る。かかる費用は子世代が負担・折半するなど――。親孝行の形も、時代や家族の成長に合わせてアップデートしていく必要があります。
子どもたちからの反応に「思い切って伝えてよかった」
LINEの後、たちからは、こんな反応が返ってきました。
「もしかして大変だった? 了解!」
「暑さが落ち着いたら、一人で日帰りで会いに行くよ」
そして、こんな思いもよらぬ返答も。
「正直、新幹線代は高いし、うちの子は思春期に突入したから、お正月に年1回でもいいなと思ってたの。お母さん・お父さんだって迎えるの大変じゃないかと思ってた。こちらから提案できなくてごめんね」
家族みんなが楽しみにしているイベントだから、やめようとは言いづらかったという子どももいたのです。
「私たちも、子どもたちも、孫も、みんな同じじゃないんですよね。我慢せずに伝えてよかった。そう思います」
よし子さんのように「NO」を伝えることは、決して冷たいことではなく、長続きする良好な家族関係を保つための健全な境界線です。家族の集まり方も、時期や年齢とともに変わっていくもの。お互いが無理のない距離感を模索することが、これからの時代に必要な本当の親孝行と言えるでしょう。
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