「離婚してほしい」退職から3ヵ月後、65歳夫が切り出した話
「退職したら、平日に旅行できるねって話していたんです。まさか私が捨てられるなんて思っていませんでした」
由美さん(仮名・64歳)は、65歳の夫・隆司さん(仮名)と結婚して38年になります。
隆司さんは大学卒業後から同じ会社に勤め、今年65歳で退職。退職金は約3,300万円でした。夫婦には別に約1,400万円の預貯金があり、自宅マンションの住宅ローンも完済しています。
由美さんは結婚後に会社を退職。子ども2人が中学生になってから短期間パートで働いた時期はあるものの、長く専業主婦として家事や子育てを担ってきました。
子どもたちはすでに独立しています。
「お金持ちだとは思っていません。でも家もあるし、退職金も出た。年金もあるから、老後はそれほど心配しなくていいと思っていました」
夫婦は退職後に温泉旅行へ行き、数年後には長期の海外旅行もしたいと話していました。
ところが退職から3ヵ月ほどたった夜、隆司さんが切り出しました。
「由美、これからのことを話したい」
「旅行?」
「違う。離婚してほしい」
由美さんは冗談だと思い、「何言ってるの」と笑いました。
隆司さんは笑いませんでした。
以前から夫婦の会話は減っていました。子どもが独立した後は休日も別々に過ごすことが多く、隆司さんは「会社を辞めたら、この生活をこの先も続けるのかと考えるようになった」と話しました。
由美さんには納得できません。
「38年も一緒にいて、今さら?」
「だからこそ、残りの時間を考えたい」
由美さんが最初に感じたのは怒りでした。しかし数日後、別の不安が押し寄せてきます。
「離婚したら、私はどうやって生活するの?」
厚生労働省『令和7年人口動態統計』によると、2025年の離婚は17万9,068組。このうち同居期間20年以上の離婚は3万9,886組でした。長年連れ添った末に離婚を選択する夫婦は、決して少なくありません。
由美さんは、結婚して初めて「夫婦のお金」を自分一人の生活という視点から確認することになりました。
