二世代にまたがって続く“孫育て”
帰宅後、好美さんが思い出したのは、昔のこと。好美さん自身も、若い頃は仕事が忙しく、保育園のお迎えや発熱などの対応は実母に頼り切りで、 運動会や発表会も、仕事で行けなかったことが何度もありました。
「おばあちゃんが代わりに行くから、大丈夫」
そう思っていました。でも、本当にそうだったのだろうか。結菜ちゃんの寂しそうな横顔が、幼かった娘の顔と重なりました。
「あの子も、私が来るのを待っていたんじゃないか。それに、私はきっと、娘の晴れの日をたくさん見逃してきてしまったんだ」
好美さんはこうも思いました。
「娘にとって、一時期はおばあちゃんが“親”のようなものだった。娘はそれを当たり前だと思ってしまったのではないか。それに、私が手伝いすぎたことで、『任せても大丈夫』と思うようになってしまったのかもしれない」
脈々と続く“孫育て”。それに気づいた瞬間、「これからも困ったときは助ける。でも、少し距離を置いて、遠くから支えよう」――。好美さんは決意しました。親としてしかつくれない特別な思い出まで、自分が埋めるべきではないと思ったからです。
支えることと、代わることは違う
株式会社ハルメクホールディングスの「シニア女性と孫の関係に関する意識と実態調査2025」によると、祖母が孫に使う金額は年間平均約18万円。好美さんはその3倍のお金を孫にかけてきました。
お金をかけること自体が悪いわけではありません。けれど、送り迎えや食事、休日の預かり、そして発表会への付き添いまで……祖母が「できること」を積み重ねていくうちに、それが親子双方にとって当たり前になってしまうこともあります。
好美さんは、娘に自分の考えをはっきり伝えました。「自分は関わりすぎてしまった。“孫育て”は、もう終わりにするわ」――と。それ以降、娘夫婦は勤務を早めに調整し、学校行事や発表会は、二人のどちらかが足を運ぶようになりました。
祖父母の役割は、助け過ぎることではなく、必要なときにそっと手を差し伸べること。その距離感こそが、三世代の幸せを長く支えるのかもしれません。
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